Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月1日 No.3344  資本主義の新たな段階における女性活躍の意義について聞く

説明する福井氏

経団連は12月6日、東京・大手町の経団連会館で女性の活躍推進委員会(吉田晴乃委員長、柄澤康喜委員長)を開催し、キヤノングローバル戦略研究所の福井俊彦理事長から「女性の参画を飛躍のバネに!」をテーマに講演を聞いた。会合の冒頭、吉田委員長が、「今後女性活躍をさらに進めるべく、女性活躍の経済への貢献を数字で見える化し、積極的に発信していきたい」とあいさつした。講演の概要は次のとおり。

■ わが国の歴史と女性の活躍

わが国は、明治維新から150年目を迎えるが、これまで男女が協働する社会を構築するには至っていない。その背景には、わが国の歴史が関係している。平安時代後期から江戸時代の終わりまで、わが国は武家社会の道を歩んできた。そこでは男女の役割が明確に分かれており、「戦う男」が先頭に立つことが当然であった。

また、わが国の戦後社会のあり方も、女性の活躍の場が少ないことと関係している。太平洋戦争で日本が敗れて以降、高度経済成長期まで、戦後復興を通じた経済発展によって、日本はサクセスストーリーを紡いできた。そのなかで、「欧米」という明確なターゲットに追いつくべく、政・官・財が強力なスクラムを組み、全員が同じ方向に進むことが日本の力の源泉であったため、こうした“男社会”では女性の参画が難しかった。

その一方で、私自身の経験としては、子どものころから周囲に優秀な女性が多かった。私は大阪の商家で育ったが、大阪では長男が商人として有能でなければ、婿養子を取り跡目としたため女系が多く、わが家でも一番偉かったのは祖母であった。また、私の通った学校では観察力・考察力に優れた女子学生がたくさんいた。日本銀行に就職してからも、私に仕事の基礎を教えてくれたのは優秀な女性職員たちであった。国際会議に出席すれば、ラガルドIMF専務理事やイエレンFRB議長をはじめ、各国の優れた女性たちと仕事をする機会に恵まれた。

■ 資本主義の新たな段階における女性活躍の意義

今、資本主義は新たな段階に移行しつつある。これまでの商業資本主義、産業資本主義などを経て、20世紀末以降インターネットが爆発的に普及し、近年ではAIやIoTが注目されている。AIやIoTは、次なる資本主義の軸となる可能性があるが、現時点では、それが新たな価値の創造につながるのか模索されているにすぎない。ただ、様子をみているだけでは出遅れてしまうため、チャレンジすることが求められる。

また、世界全体が、先進国へのキャッチアップの時代を終えたかどうかにかかわらず、時代の最先端を自ら切り拓き、新たなバリューを生み出す時代を迎えている。生産性を上げるには、効率的な働き方以上にイノベーションが重要となる。新しい価値は、人間同士の知性や感性の擦り合わせのなかで生まれる。男女が互いを高めあい、それをテクノロジーが後押しする。それは男性だけでは実現できない。男性の後から女性がついてくるようでは失敗してしまう。

そのほかにも、今後わが国が激しい国際競争のなかで揺さぶられても倒れない、しっかりとした土台を築くよう、リスクマネーを積極的に投じる、ITと親和性の高い農林業へ若者を誘導し地域の過疎化に対応する、財政再建と社会保障制度改革を両立させる、などといったことが重要となる。

【政治・社会本部】