Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月11日 No.3345  米国ケンタッキー州のギル経済開発省長官らと懇談 -アメリカ委員会

経団連のアメリカ委員会(石原邦夫委員長、早川茂委員長、村瀬治男委員長)は12月5日、東京・大手町の経団連会館で米国ケンタッキー州のテリー・ギル経済開発省長官らとの懇談会を開催した。ギル長官とは、昨年5月の経団連訪米ミッションの際に、ベヴィン州知事らとともに懇談して以来の再会となった。石原委員長の司会のもと、ギル長官からケンタッキー州のビジネス環境や日本との関係について説明を聞くとともに、参加者との間で活発な意見交換が行われた。ギル長官の発言の概要は次のとおり。

■ ケンタッキー州の経済・ビジネス環境

昨年1月にケンタッキー州経済開発省長官に就任して以来、ベヴィン州知事のもとで、民間企業での経験を活かして、雇用創出、企業活動の支援、外国直接投資の誘致を進めてきた。

ケンタッキー州は、米国の中央に位置し、全米各地と地理的に近い。温暖な気候に恵まれ、治安もよい。また、州間高速道路、主要鉄道網、船舶航路等のネットワークが整っているうえ、グローバルな物流企業の拠点が集まっており、輸送の利便性が高い。産業用電力料金についても、ミシシッピ川東部にある州のなかで最も安い。

さらに、経済開発省として、世界一のビジネス環境づくりに力を入れている。例えば、不要な規制の撤廃を推進し、これまでに規制の3分の1を廃止するとともに、新たな立法措置の際には7年後の見直しを義務づけている。また、企業が長期的に成功するためには優れた労働力が不可欠であることから、高度な技能を有する労働者育成のための研修訓練プログラムの充実化を図っている。加えて、企業と教育機関の提携により、高校生に働きながら学ぶ機会を提供するプログラムを実施している。

■ 日本企業によるケンタッキー州経済社会への貢献

外資系企業によるケンタッキー州への投資の4割を日系企業が占め、直接投資残高は20億ドルに及ぶ。また、ケンタッキー州内には200近くの日系企業拠点があり、日系企業による雇用者数は4万5000人に上る。このような日本企業のケンタッキー州経済社会への貢献に大変感謝している。

■ 貿易政策

米国の環太平洋パートナーシップ(TPP)離脱に対する日本企業の懸念は承知している。ベヴィン州知事は、トランプ大統領ほか政権幹部と近しい関係にあり、貿易政策について政権に意見を直接伝えることのできる数少ない州知事の一人である。ケンタッキー州としては、日本企業との関係を強化するとともに、政権へ影響力を活かして、日本企業の立場を代弁し、公正でバランスのとれた貿易政策の実現に努めたい。

また、ケンタッキー州の主な産業の1つである自動車産業については、メキシコやカナダで製造された部品がケンタッキー州で完成車に組み立てられ、米国および世界市場に向けて輸出される。政権が、グローバルなサプライチェーンがケンタッキー州のみならず米国全体にとって重要であることを理解し、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を合理的・公正なかたちで進めるよう、政権に対して積極的に働きかけている。

【国際経済本部】