Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年1月25日 No.3347  EU一般データ保護規則(GDPR)セミナーを開催

経団連は12月15日、東京・大手町の経団連会館で「EU一般データ保護規則(GDPR)セミナー」を開催した。GDPRは今年5月25日から適用され、個人データの処理と移転に関する厳格化が図られる。また前日には、日EU双方の制度下において相互の円滑な個人データ移転を確保できる枠組みについて、日EU両当局による委員級会談が行われ、対話に進展があった。

当日は、欧州委員会のベラ・ヨウロバー委員(司法・消費者・男女平等担当)と個人情報保護委員会の熊澤春陽委員のあいさつに続いて、欧州委員会司法総局のブルーノ・ジェンカレッリ・国際データ移転・保護課長による講演が行われた。発言の概要は次のとおり。

■ ヨウロバー委員

今回の訪日でさまざまな関係者との意見交換を行い、EUと日本は基本的人権や個人データ保護についての価値観を共有していると感じた。12月8日に合意に至った「日EU経済連携協定(EPA)」はそうした価値観や利益を促進する証しとなる。

「データ」は21世紀経済における最重要の資産であり、通商関係の基盤となる。日EU間で相互の個人データの円滑な流通を確保するための相互認証を18年の早期に実現するというEUの意志は明確である。日EU両制度には重要な相違点も挙がっているが、双方が誠意と創造性をもって解決策を見いだせば、2018年、法改正を要することなく相互認証に至れるであろう。

18年5月にはGDPRの適用が開始される。EU外の企業も、欧州の顧客を相手に事業を展開する場合には適用を受けることとなり、公平な競争環境が実現される。

今後、新たなガイドラインやQ&Aツールなどを発表していくので、ぜひ日本企業の経験をもとにした意見をいただきたい。

■ 熊澤委員

EUは基本的な価値観を共有する重要なパートナーである。今般、日EU・EPAが合意に至ったが、通商だけでなく円滑なデータ流通が企業の経済活動に重要な役割を果たすことはいうまでもない。個人情報保護委員会としても日EU間の個人データの相互流通の確保を最重要課題として取り組み、ヨウロバー委員と会談を重ねてきた。今回、日EU間の差異を埋める手法について合意し、18年第1四半期までの最終合意に向けて当委員会と欧州委員会で必要な作業を早急に進めることで一致した。

実際の運用がうまくいくかは経済界が重要なカギを握る。引き続き日EUの官民で連携していくことが重要である。

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その後、ジェンカレッリ氏から、GDPR策定の意義や今後のスケジュール等について説明が行われ、「疑問点の解消に向け、今後もガイダンスの策定やセミナーの開催を進めていく。引き続き日本の産業界ともコミュニケーションをしていきたい」との発言があった。

※ 当日の説明資料(英文)は経団連ウェブサイトに掲載

【産業技術本部】