Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月15日 No.3350  法人番号の活用について聞く -行政改革推進委員会企画部会・情報通信委員会企画部会

経団連は1月23日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)と情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)の合同会合を開催し、慶應義塾大学大学院の手塚悟特任教授から「法人番号の活用促進と今後の課題」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 法人番号の導入背景

2009年の経団連提言「新IT戦略の策定に向けて」 「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」において、国や地方自治体が共同で利用する企業IDの導入により、行政機関間の情報連携を通じて申請・届出時の添付書類を削減し、企業の負担軽減を図ることが求められた。これを受け、政府の「電子行政に関するタスクフォース」において、番号の適用範囲や網羅性、国際性等の多様な論点を検討し、「企業コードの整備・活用に関する基本構想(案)」を取りまとめた。

■ 法人番号の概要

15年10月から、国税庁長官は、国の機関や地方公共団体、設立登記法人等に対して13桁の法人番号を指定・通知するとともに、基本3情報(商号、本店所在地、法人番号)を「法人番号公表サイト」で公表している。原則非公開の個人番号とは異なり、法人番号はだれもが自由に利用することができる。そのため、(1)取引情報の集約を通じた業務の効率化(2)新規営業先や会員勧誘先の効率的な把握(3)Web API等を用いた取引先情報の入力補助――など、民間の創意工夫によるさまざまな活用方法が期待されている。

行政機関においては、(1)Webページで公開する法人情報への法人番号の併記(2)輸出入申告書等に記載するコードの法人番号への切り替え(3)政府が保有する法人情報(補助金交付、委託契約、許認可・届出、表彰等)を一括で検索・閲覧・取得できるオープンデータサイト「法人インフォメーション」の運用――をはじめ、法人番号の活用を促進するための取り組みを進めている。

■ 法人番号の今後

企業が独自に発行している社員証には公的な裏付けが存在しない。そこで、個人番号カードに搭載されたICチップの空き領域に法人番号・社員情報を入れることで、社員証を公的な身分証明書としても利用できると考えられる。

また、デンマークやスウェーデンを視察した際、買い物時の領収書に法人番号が記載されるとともに、店舗に設置された端末を通じて当該取引の内容が税務署に送信され、税務署は法人番号で仕分けして各事業者の売り上げを把握・課税する仕組みが構築されており、強く印象に残った。

法人の電子契約に関しては、今年1月から「電子委任状の普及の促進に関する法律」が施行され、電子認証の対象となっていなかった法人の社員等についても、代表者が登録した電子委任状を活用することで契約の主体となる基盤が整えられた。法人番号の活用とあわせて、法人の電子契約の普及も重要となろう。

【産業政策本部、産業技術本部】