Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月22日 No.3351  UNICEFにおける最先端技術の活用、日本企業との連携の可能性聞く -ファビアン・シニアアドバイザーと二宮企業行動・CSR委員長が懇談

説明するファビアン氏

経団連の二宮雅也企業行動・CSR委員長は2月6日、東京・大手町の経団連会館で、国連児童基金(UNICEF)のクリス・ファビアン・シニアアドバイザーと懇談した。UNICEFの最先端技術の活用、日本企業との連携の可能性について説明を受け意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ UNICEFにおけるイノベーションの重要性

UNICEFは、子どもの命と権利を守ることを目的とし、190の国と地域で活動する国連機関である。近年、都市化や移民、気候変動、感染症の拡大、若年層の雇用などの社会的課題が深刻化するなか、UNICEFは、国連のイノベーションネットワークの中心として、最先端技術を活用した課題解決への取り組みを進めている。これは、産業発展や現地の人材育成につながり、1000億ドルの事業機会と10億人の雇用をもたらすと見込まれる。

■ 最先端技術の活用例

UNICEFにおける最先端技術の活用例として、アフリカのマラウイにおけるドローンの配送サービスの実証実験が挙げられる。人口密度の高い地域で行う配送実験は世界でも実例が少なく、次世代トラフィックマネジメントの研究開発、新たな事業機会の創出とともに、マラウイの若いエンジニアの育成など現地の人材育成投資にもつながる。

またトルコ、インドネシアでは、子どもの精神的発育に向けて、VRやブロックチェーン技術を用いた研究、サービスを提供している。

■ 企業との連携の可能性

UNICEFと企業との連携のあり方

こうしたイノベーションへの取り組みには、企業との連携が欠かせない。具体的な連携のあり方として、(1)スキル(企業からの専門家派遣) (2)プラットフォーム(技術やサービス、インフラ) (3)データ (4)資金――の4つが考えられる。例えば、世界の旅行業者に向けてシステムを開発・提供するAmadeus社は、グローバルなフライト情報を有しており、人やモノの動きから、ジカ熱など感染症の拡大を予測できる。同社のこうした取り組みに、日本企業が技術やデータ提供などで協力することで、より課題解決に資するプロジェクトが実施可能となる。

また(4)の資金面では、UNICEFとして国連初のベンチャー・ファンドを立ち上げて支援を行っている。同プロジェクトへの投資は、経理上、慈善活動への寄付として計上できるなど、企業においてもさまざまなメリットがある。

【教育・CSR本部】