Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月1日 No.3352  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は2月26日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

榊原会長は、裁量労働制に関する厚生労働省の調査データのミスについて、あってはならないことであり、残念であるとの認識を示した。そのうえで、こうしたミスと法改正の趣旨は基本的には別問題だと指摘。今回の働き方改革関連法案には、多様な働き方への対応、長時間労働の是正、働く人の能力の発揮に向けた環境整備などが盛り込まれており、時代に即した改正であると述べ、審議を尽くし、今国会での改正案の成立に期待を表明した。また、働き方改革の実現は社会の要請であり、経済界もこれを要望していることに言及。働く人にとってプラスになる働き方改革関連法案の趣旨に対する理解が深まるよう、審議を尽くしてほしいと述べた。調査データのミスを是正し、明確にすることは必要であるものの、そればかりが議論され、審議そのものが遅れることはあってはならないと強調した。

春季労使交渉については、各社、各業界における経営環境はさまざまであるとの認識を示した。日本経済全体としては好調であり、多くの企業が最高益を更新するなど、増収増益となっていると説明。2018年版経労委報告でも示しているように、ここ数年の実績を上回る賃上げを期待したいと述べた。メガバンク労組がベアの要求を見送るとの報道について、経団連としては各社・各業界の判断を尊重しており、銀行をめぐる現在の経営環境を踏まえた判断であるとした。そのうえで、メガバンク労組がベアの要求を見送るとしても、賃上げに向けたムードに水を差すということにはならないとの見解を表明した。

企業の品質管理にかかる問題については、昨年12月4日、全会員企業・団体に文書を送付、品質管理に関する不適切事案の総点検、法令・契約遵守の徹底、実効ある不正防止策の実施に取り組むとともに、不適切な対応があった場合は経団連にも報告してほしいと要請したことを説明。これを踏まえ、2月22日、宇部興産から報告があり、翌23日に同社が記者発表を行ったと述べた。こうした事案への対応に関しては、当事者である各社ごとに事情が異なることに言及。同社の場合、不正の確認から公表まで2カ月を要したが、これは顧客への説明、契約上の守秘義務や機密事項などさまざまな事情を考慮したうえで、経団連への報告と公表がなされたと理解しており、経団連としては各社ごとの経営判断を尊重したいと述べた。

【広報本部】