Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月8日 No.3353  オレシュキン・ロシア経済発展相との懇談会を開催 -ロシア経済の現状や今後の日露経済関係の展望等について意見交換/日本ロシア経済委員会

経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は2月22日、来日中のマクシム・オレシュキン・ロシア連邦経済発展大臣との懇談会を都内で開催し、ロシア経済の現状や今後の日露経済関係の展望等について意見交換を行った。

オレシュキン大臣は、昨年11月にモスクワで第14回日本ロシア経済合同会議が開催された際に経団連ミッションと面会し、2018年春に経団連とのビジネス対話をあらためて行う意思を表明していた。オレシュキン大臣の説明の概要は次のとおり。

■ ロシア経済の現状と見通し

ロシア政府は14年以降、マクロ経済の構造改革に取り組み、15年に17%であったインフレ率は18年2月現在2.2%と、先進国並みの水準に収束している。また、石油価格の下落をはじめ世界経済のさまざまな外的要因によって、大きく変動してきた通貨ルーブルも安定し、GDP成長率2%を達成するなど、マクロ経済全般で著しい改善がみられる。これらによって、企業がバリューチェーンを構築する基盤が整ったと考えている。

今年以降の経済改革の第2の波は、発展のテンポを加速するものとなろう。ロシアでは3月18日の大統領選挙のほか、年次教書演説も予定されており(3月1日実施)、今後、1バレル=40ドルの石油価格を前提とするロシア市場でのビジネスは、乱高下がなく安定的で予見可能性が一層高まると期待される。

■ ロシアの投資環境

世界銀行によるビジネス環境ランキングにおいて、18年のロシアの格付けが前年の40位から35位に上昇するなど、ロシアの投資環境は着実に改善している。税務や関税など行政手続きの簡素化や迅速化が実現し、インドやブラジル等よりも安定的なビジネス環境を提供している。

また、かねて経団連から、インフラ整備におけるPPP(官民パートナーシップ)やコンセッション方式の導入等について要望されているが、ロシアから第三国への輸出拡大の重要性にも鑑み、法制度面での整備を進めているところである。

さらに、近く日本に投資ミッションを派遣する予定である極東地方をはじめ、ロシアの各地方も投資環境の改善や競争力の強化に向けて努力を重ねている。

■ 露日経済関係の現状と今後の展望

露日経済関係は、8項目の「協力プラン」(注)に沿って100以上の覚書の多くが具体的なプロジェクト契約に至るなど17年も着実に進展したが、協力拡大の余地は依然として大きい。約200社の日系企業がロシアに進出しているが、今後、中小企業の進出を促したい。

この点、昨年9月にウラジオストクで開催された東方経済フォーラムの場で署名された新たな日露租税条約は、両国の企業が事業活動を展開するうえで重要な基盤となろう。

また、両国は人口問題や医療保険等の分野について共通の課題を抱えているため、ぜひ日本の経験を活用させてほしいと考えている。

両国政府間で準備が進められている今年5月の安倍首相のロシア訪問にあたっては、日本から多くの企業人が同行するものと期待している。大臣として、日本企業の皆さまが安心して進出いただけるよう、種々提案していきたい。

(注)8項目の協力プラン=(1)健康寿命の伸長 (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市づくり (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大 (4)エネルギー (5)ロシアの産業多様化・生産性向上 (6)極東の産業振興・輸出基地化 (7)先端技術協力 (8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】