Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月15日 No.3354  東日本大震災の被災地からのメッセージ -1%クラブ会員交流会を開催

1%(ワンパーセント)クラブ(二宮雅也会長)は2月26日、東京・大手町の経団連会館で会員交流会を開催した。東日本大震災の伝承活動に携わる個人・団体の広域連携組織「3.11メモリアルネットワーク」の鈴木典行代表、佐藤敏郎理事から、宮城県石巻市の大川小学校の悲劇について講演を聞いた。避難が遅れた状況や地域の人々の思いについて説明を受け、命を守ることの大切さ、日々の仕事や生活における決断の重要性を再認識する機会となった。鈴木、佐藤両氏の講演の概要は次のとおり。

<講演概要>

震災の教訓を継続して伝承することで未来の命を救いたいと思い、広域連携ネットワークを立ち上げた。私たちは、大川伝承の会として、わが子を含め84名の児童・教職員が犠牲となった大川小学校の津波に関する語り部活動を行っている。

避難に十分な時間・情報・手段があったとしても、最終的に人の命を救えるか否かは意思決定を行う人の判断と行動に帰着する。実際、地震発生から小学校への津波到達まで51分あり、広報車や防災無線が津波到達の可能性を伝えていたので、裏山に逃げていれば結果は違ったかもしれない。いったんは裏山を選択し駆け上ったが校庭に戻された。個人の判断を組織としての意思決定にどうすれば反映できたのか、子どもたちを救えなかった先生たちの後悔から学ばなければならない。

また、小学校には津波に関するマニュアルはあったが、避難場所として挙げられている「近隣の空き地・公園」にあたる場所はなく、北上川沿いの三角地帯を目指してしまった。不備を批判するのは簡単だが、対立に終始せず意見を調和させ真に命を守るマニュアルをつくらなければならない。

さらに、普段からの備え、習慣、信頼関係が大切だ。また、本や講義のみならず現場で被災者から学ぶことが最も重要な防災活動といえる。そして、災害発生時には、得た知識を正しく実行に移すことが求められる。伝承活動が皆さんの未来への備えの一助となれば幸いである。

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講演を受けて二宮会長は、震災に関する記憶の風化が指摘されるなか、伝承活動と学びの重要性を強く感じたと述べた。そのうえで、震災の教訓は国連の持続可能な開発目標(SDGs)における強靱な都市の実現と災害による被害の軽減につながるのではないかと、活動へのエールを送った。

その後、同ネットワークの中川政治事務局長が、ネットワークを通じた伝承拠点間、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震被災地との連携等を紹介し、災害から命を守る社会の実現のため、活動への賛同と協力を呼びかけた。

同ネットワークに関する情報・問い合わせは団体ウェブサイト(http://311mn.org/)を参照。

【教育・CSR本部】