Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358  榊原会長らがB7ケベックシティ・サミットに参加 -共同宣言を取りまとめ、カナダ政府に働きかけ

B7共同宣言に署名する榊原会長(前列中央)、
後列右から2人目はシャンパーニュ国際貿易相

G7サミット(6月8~9日、シャルルボワ)を控え、4月5~6日、カナダのケベックシティでG7ビジネス・サミット(B7サミット)が開催され、経団連(榊原定征会長)から榊原会長、中西宏明副会長、小林健副会長が参加した。

トルドー・カナダ首相を迎えた朝食会に始まり、経済団体首脳会合や歓迎夕食会、さらには、閣僚も交えたラウンドテーブルでは、「包摂的成長」「資源効率性」「スモールビジネスの拡充」の3つの議題について踏み込んだ意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 経団連の取り組みと成果

ラウンドテーブルでは、榊原会長から、米政権が鉄鋼・アルミニウムに高関税を課すという一方的な措置を取ったことで貿易戦争を惹起しかねないとの強い懸念を表明。B7として、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化を標榜し、国際社会にメッセージを発信していくことの重要性を指摘した。

中西副会長からは、資源・エネルギーの効率的利用やSDGs(持続可能な開発目標)に資するSociety 5.0、緊密な官民連携と多様な主体によるイノベーション・エコシステムの構築など、経団連の取り組みを説明した。

一方、小林副会長からは、地方ベンチャー企業や地方自治体等との提携を通じたバリューチェーン構築や高水準のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)等によるインフラ整備を通じたスモールビジネスの拡充等に関する考え方を紹介した。

こうした論点をめぐって、デュクロ家庭・子供・社会開発相やチャガー小規模ビジネス・観光相、各国経済界首脳らと活発な議論が展開された。

また、シャンパーニュ国際貿易相に最終的に手交されたB7共同宣言には自由貿易の推進からSociety 5.0に至るまで、経団連の考え方が全面的に反映された。シャンパーニュ国際貿易相は「G7サミットの議長国として、B7の意見を受け止め、サミットを運営していく」と応じた。

■ カナダ政府要人の発言要旨

  1. (1)トルドー首相
    G7サミットでは、(1)皆が裨益する成長への投資 (2)将来の仕事への備え (3)ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進 (4)気候変動、海洋、クリーンエネルギーでの協力 (5)平和で安全な世界の構築――の5本柱を中心に議論を深める予定。今回、B7が選定した3つの議題はいずれも時宜にかなったものであり、G7議長として経済界からの提言に期待している。

  2. (2)シャンパーニュ国際貿易相
    ケベックをはじめカナダは、自由貿易によって発展してきた歴史がある。貿易とはすなわち人そのものであり、カナダはFTAにジェンダーの視点を盛り込んだ最初の国でもある。包摂的成長は、ルールに基づく自由で開かれた貿易以外にあり得ない。TPP11など、21世紀型の高水準な自由貿易を通じて、安定的で予見可能性の高い繁栄の機会を逃してはならない。

「包摂的成長」等についてB7首脳や閣僚らが終日熱のこもった議論を展開

■ 経団連の今後の取り組み

経団連では、今次サミットにおける成果も踏まえ、来年のB7フランス・サミット、さらには経団連が主催するB20東京サミットに向け、各国経済団体との連携を一層強化し、国際会議における政策対話を主導していく。

【国際経済本部】