Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358  第2回東大・経団連ベンチャー協創会議総会を開催 -ベンチャー創出・育成の取り組み強化に向けて/起業・中堅企業活性化委員会

経団連と東京大学は3月27日、東京大学本郷キャンパスで「第2回東大・経団連ベンチャー協創会議総会」を開催し、ベンチャー創出・育成にかかる両者の取り組みを共有するとともに、今後の活動方針について議論を行った。概要は次のとおり。

根岸委員長

高橋部会長

立石委員長

五神総長

渡部産学協創推進本部長

大泉社長

■ 開会あいさつ

開会にあたり、東京大学の五神真総長が「産業構造が知識集約型へ移行するなか、産業界と大学の連携をステージアップすべく、密度の高い議論をしたい」とあいさつ。続いて、経団連の根岸修史起業・中堅企業活性化委員長は「近時、大企業とベンチャーの連携事例が増加している。今後、協創会議にはハブ機能の発揮やベンチャー創出への取り組み強化を期待する」と述べた。

■ 取り組み状況

経団連では、協創会議の取り組みとして、主としてベンチャーと大企業の連携促進に向けたマッチング活動を実施している。高橋誠同委員会企画部会長から、東大発ベンチャーのアクセルスペース社、テレイグジスタンス社と経団連会員企業のマッチングをはじめ、連携の組成・促進に向けた活動を報告するとともに、さらなる加速に向けた施策について提案を行った。

続いて、東京大学の渡部俊也産学協創推進本部長から、東京大学を中心とするベンチャー・エコシステム形成に向けた取り組みとして、東大関連ベンチャーキャピタルの事業状況、インキュベーション施設拡充に向けた動き、産学協創におけるSDGs(持続可能な開発目標)の活用方策案などについて説明があった。

■ 東大新ファンドについて

東京大学協創プラットフォーム開発社では、大企業との連携によるベンチャー創出を目指す新ファンドの組成に向けた検討を行っている。新ファンドは、企業と大学の資源を活用したカーブアウトベンチャーの創出等をねらうものである。同社の大泉克彦社長から、このアプローチによるベンチャー創出のポテンシャルや新ファンドの概要について説明があった。

続いて、経団連の立石文雄起業・中堅企業活性化委員長が、Society 5.0の実現によるSDGs達成に向けては、イノベーション・エコシステムの構築が肝要であり、そのなかでベンチャーの存在は不可欠であること、そして、新ファンドは大企業のベンチャー・エコシステムへの参入を促進する観点からも重要であるとの期待を表明した。

<自由討議>

その後の議論では、「技術起点だけでなく、社会課題やニーズ起点のベンチャーも増えている」「東日本大震災以降、社会課題解決に貢献したいという学生が確実に増えた。その思いを実現する手段としてベンチャーが選ばれてきている」など起業をめぐる背景が語られたほか、新ファンドがねらうカーブアウトについて、東大側から「カーブアウトは大学教員にとっても比較的身近な選択肢」、経団連側から「企業は事業化に至らずに眠っている資産を多く抱えている。東大のノウハウを導入して新たなビジネスに向けて活性化したい」との意見が出された。また、企業とベンチャーのマッチングについて「企業側は、ベンチャーの情報収集をするだけでなく、社内を聞き回ってニーズのリストを携え、ベンチャーやベンチャーキャピタルと会うことが重要」などの意見があった。

◇◇◇

東大・経団連ベンチャー協創会議では、これらの議論を踏まえ、ベンチャーの創出・育成に向けた取り組みを強化していく。

【産業技術本部】