Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358  榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は4月9日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

米国の通商法301条に基づく関税引き上げ措置に対する中国の対抗措置は想定されていたことだとしつつ、米国、中国のみならず世界経済全体に及ぼす影響を懸念、米中の対話を通じた解決に期待を示した。また、現状をあまり悲観的、断定的に考えず引き続き動向を注視するとして、先週開催のB7サミットでも通商問題の議論で同様の懸念を表明。共同宣言を開催国カナダのシャンパーニュ国際貿易相への手交したことを紹介した。

米国の通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミへの関税措置は、問題の根本的な解決にはならず、過剰生産能力や国有企業の行動、国による補助金などが問題の本質との認識を表明。こうした本質的な問題は、OECD、WTO、G7、G20などの国際枠組みにおける議論を通じてルールに基づき対処し、公平な競争条件を確保することが重要と指摘した。日本が対象除外となるか否かも大事だが、国際協調によるルールに基づいた問題解決の呼びかけが重要だと強調した。4月中旬に予定される日米首脳会談において、日本をはじめ各国が抱く通商問題に関する懸念、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の重要性、大国としての米国の責任・役割を安倍総理から直接トランプ大統領に話してほしいと述べた。

先週、閣議決定し国会提出となった働き方改革関連法案について、改革推進に向けた第一歩であり、与野党には早急に建設的な議論への期待を表明。とりわけ、高度プロフェッショナル制度の創設は時間ではなく成果で評価する新たな働き方を導入するものであり、この確実な実現が改革を推進するうえで重要とした。

また、改革推進には4つの政策課題、すなわち(1)裁量労働制の拡大(2)高度プロフェッショナル制度の創設(3)同一労働同一賃金(4)残業時間の上限規制――の実現が重要であると強調。今回、裁量労働制の対象拡大が法案から除外されたのは残念だが、同法案の今国会での早急かつ確実な法案成立、実現を求めた。裁量労働制の対象拡大は、さまざまな課題指摘を踏まえた実態調査を行ったうえで、あらためて早期に国会提出してほしいとした。

昨今の行政府をめぐる諸問題について、国家公務員としての基本的な心構え、矜持が浸透しているのか疑問視せざるを得ないと指摘した。特に自衛隊の日報問題は文民統制にかかわり看過できないと発言。安倍総理が先頭に立ち徹底した事実調査、再発防止の取り組みなど厳正な措置を行うよう要望した。

【広報本部】