Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358  宮城県におけるPPP/PFIの取り組みを聞く -都市・住宅政策委員会PPP推進部会

経団連は3月16日、東京・大手町の経団連会館で都市・住宅政策委員会PPP推進部会(青木弘之部会長)を開催し、「仙台空港民営化」および「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)」について宮城県の担当者から説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 仙台空港民営化

  1. (1) 民営化の目的
    東北地方の定住人口の大幅な減少が見込まれるなか、東日本大震災からの再興を実現するためにも交流人口の拡大が欠かせない。そこで、東北全体の活性化を牽引する拠点空港を目指し、2016年7月に仙台空港の運営を民間に委託した。これにより、運営権者の仙台国際空港社は、滑走路、駐車場、旅客ターミナル、貨物ターミナルを一体的に運営することとなった。一方、民営化後も、管制と出入国管理については引き続き国が担っている。

  2. (2) 民営化の成果
    民営化以前の15年度に約311万人であった旅客数は16年度に約5万人増加した。今年度は約340万人、東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年度には410万人の実現を目標としている。
    国際線の就航便数は民営化開始から2年で週10便から週23便に増加した。LCCの新規就航や増便が寄与しており、引き続き若年世代や主婦層などの需要発掘に大きな効果が期待される。
    また、仙台空港と東北各地を結ぶバスが5路線開設され二次交通が充実するとともに、空港施設の充実が図られている。

  3. (3) 空港のさらなる活性化に向けて
    空港の利便性を向上するため、商業施設の出店に関する規制緩和を実現しつつある。また、空港運用時間を延長し、新規路線を誘致することも重要な課題である。

■ 宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)

  1. (1) 検討の背景および経緯
    水道事業は装置産業であり、施設が完成してから長期間にわたって投資を回収する。しかし、人口減少等により水道用水供給量は緩やかに減少し、それにあわせて収益が減少するとの予測が立てられている。その一方で多くの水道設備は完成から30年以上が経過しており、今後、設備更新のため莫大な投資が必要となる。
    宮城県では、民間活力の導入によりこうした課題に対処しようとしたが、(1)委託期間が短期である(2)各事業を個別に委託したためスケールメリットが発揮されない(3)受託事業者の自由度が小さい――といった問題点が浮かび上がってきた。
    そこで、県企業局では、15年度から水道事業の最適な管理・運営方式の検討を始め、16年度からは、「宮城県上工下水一体官民連携運営検討会」を開催し、「みやぎ型管理運営方式」の確定に向けて議論している。

  2. (2) みやぎ型管理運営方式(案)
    目的として、県が最終責任を持ち公共サービスとしての信頼性を保ちながら、民間の力を最大限活用することにより、経費削減や将来の経営安定化を図ることを掲げている。また、3事業一体による全体最適や、情報公開・説明義務の履行等を基本方針として挙げている。
    具体的な官民連携による運営としては、県(水道用水供給事業者)と民間事業者(運営権者)の役割分担、民間事業者によるサービス提供と設備投資、県による料金設定、県と民間事業者による料金収受、といったスキームが検討されている。

【産業政策本部】