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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年5月17日 No.3361 第25回「経団連 Power Up カレッジ」 -「時代の一歩先へ~大きな構造変化に直面するなかで」/三井住友フィナンシャルグループの國部社長が講演

経団連事業サービス(榊原定征会長)は4月19日、東京・大手町の経団連会館で第25回「経団連 Power Up カレッジ」を開催し、三井住友フィナンシャルグループの國部毅社長から講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 時代が直面する大きな構造変化

われわれは、(1)グローバル経済における先進国から新興国への重心の移行(2)急速な技術革新による産業の地殻変動(3)グローバル化とテクノロジーの進化が生み出す歪み(4)グローバルなマネーフローの変質(5)わが国に忍び寄る人口減少・少子高齢化――という「5つの大きな構造変化」に直面している。

こうした変化に直面している現在は、その変化のスピード、影響度合いをみても、「前例のない時代」といえる。

■ グループの経営戦略

こうした時代における経営者の役割は、「目指すべきビジョンを明確化し、組織のベクトルを合わせてその実現に挑み、そのなかで変えるべきものは果断に変えていくこと」である。

当グループは、中長期ビジョンを「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」と定め、その達成のために、「誰からも評価される質の高い金融グループ」を目指している。

その実現に向け、従来の金融ビジネスの枠にとらわれない時代の一歩先を見据えた戦略、すなわち、大きな構造変化を踏まえた「『絶えざる進化』を実現するための戦略」に取り組んでいる。

国内市場では、貯蓄から資産形成への取り組みや成長産業・成長企業への支援、グローバル市場では、ビジネスモデルの高度化やアジアにおけるビジネスの強化・拡充(アジア・セントリックの進化)に注力している。テクノロジーへの対応では、従来の枠にとらわれず、新たな金融サービスの創出や生産性の向上を図っている。また、グループ力の最大化に向け事業部門制を導入するとともに、組織の活性化に向け、役職員の価値観・行動指針として「5つのキーワード(Five Values)」を制定し、その浸透を進めている。

■ 時代の先を読むことの重要性

1990年代後半の日本の金融システム不安と、2008年のリーマンショックという2つの金融危機の経験から、「時代の先を読むこと」という教訓を学んだ。

時代の先を読むためには、「今の状態は持続可能性があるのか」という意識を心にとめながら、絶えず変化へのアンテナを高め(=情報収集)、事前の綿密な準備を行い(=情報分析)、適切な対処を心掛けること(=果断に行動)が求められる。

■ 変化の時代に求められるリーダー像(7つの要素)

変化の時代に求められるリーダー像としては、第1に、大局観をもって物事をとらえること(Big Picture Thinking)。これまでの延長線ではなく、大きな潮流のなかで、俯瞰的に考える。

第2に、組織として目指す姿を示して社内で共有すること(Clear Vision)。自らの思いや考えを、しっかりと伝えていく。

第3に、勇気を持って新たな挑戦、変革に踏み出すこと(Animal Spirits)。「進取敢為」(自ら進んで物事に取り組み、困難があってもやり遂げる)の精神を持ち、変えるべきものは果断に変えていく。

第4に、修羅場をくぐり抜けて精神的に強くなること(Be Tough)。あえて難しい仕事にチャレンジする。

第5に、意思疎通を円滑にすること(Communication)。相談しやすい雰囲気をつくり、率直な意見交換の場を設ける。

第6に、やり遂げるという強い意志を示すこと(Commitment)。最終的にリーダーは結果責任を持つ。

第7に、人間力、包容力(Broad-minded)。「築城3年落城1日」を心にとめ、常に高い倫理観を持ち、謙虚でなければならない。

◇◇◇

最後に私の座右の銘を2つ紹介する。

「正々堂々」。問題から逃げずに正面から取り組めば必ず道が開ける。

「得意淡然、失意泰然」。好調な時ほど浮かれずに淡々と、状況が悪い時には焦らず落ち着いていることが重要である。

【経団連事業サービス】

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