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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年5月24日 No.3362 「日本・ロシアフォーラム」で朝田日本ロシア経済委員長が講演

講演する朝田委員長

4月27日、モスクワで「日本・ロシアフォーラム」(毎日新聞・ロシア新聞共催。日露両国政府、経団連等後援)が開催され、経団連を代表して、朝田照男日本ロシア経済委員長が登壇した。

日露関係者400名以上が参加した同フォーラムで、朝田委員長は二階俊博自由民主党幹事長やイーゴリ・モルグロフ・ロシア連邦外務次官らに続いて講演を行った。日露の互恵的なビジネスの実現に向けた課題や要望を説明し、好評を博した。講演の概要は次のとおり。

■ 日露ビジネスの拡大に向けた課題

日露間の貿易・投資はここにきてポジティブな傾向がみられるが、両国の経済力を踏まえれば、依然として物足りない。経団連ではとりわけ、極東開発の成否が日露経済関係全体の行方を左右する試金石と認識しているが、日本企業による経済特区等の制度の利用率は極めて低い。極東の特区に入居している日本企業は数社にとどまり、大型プロジェクトも期待されていたようには進捗していない。経団連のロシア・ビジネスアンケートによれば、「将来有望な地域」について、極東地域への関心は昨年43.4%と、過去最低を記録した。

■ ロシア政府への要望

  1. インフラ整備
    日露貿易が伸び悩む最大の理由の1つが、鉄道や港湾等、極東のインフラ未整備である。国内内陸輸送の貨車不足、貨物停滞に伴う遅延等により、ロシア全土の貨物収集は至極困難である。
    こうしたなか、物流網整備は石炭やLPG・穀物等輸出増、インフラ投資推進にもつながると期待される。

  2. 優遇措置の減免期間の延長
    特区内のすべての優遇措置に関して、法人税や固定資産税等の減免期間を延長すべきである。日本の製造業のリードタイムを考えると、5年間の優遇期間はあまりに短く、投資インセンティブとして不十分である。

  3. 投資後のアフターケア
    半年に一度、極東発展省傘下のエージェンシーが入居企業を訪問するなど、アフターケアの仕組みをつくり、協力して問題を解決していくメカニズムが肝要である。
    あわせて、投資に対するリターンの回収や、そのための為替支援に対する措置も必要である。

■ 日露協力の新たな展望

極東をゲートウエーとする一方、経済の近代化を目指すロシアにおけるイノベーションの実現が重要なカギである。この点、デジタル経済に関する日露協力は、時宜を得た取り組みだといえる。

経団連では「Society 5.0」を最重要課題の1つと位置づけ、国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを加速している。良質なデータを活用し、IoTやAIなど最先端の技術によって、産業競争力の強化と地球規模課題の解決の両立を目指しており、来年6月のG20大阪サミットに先立って、経団連が主催するB20東京サミットでも、重要なアジェンダとなる。

経団連としては、デジタル協力や、極東をゲートウエーとしたwin-winビジネスを通じて日露経済関係を拡大・深化すべくロシアとの政策対話を進めていく。東京で今秋開催する第15回日本ロシア経済合同会議では、昨年の合同会議での成果も踏まえ、さらに突っ込んだ議論を行いたい。

【国際経済本部】

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