Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月28日 No.3367  メキシコ通商政策セミナーを開催 -グアハルド経済相がTPPやNAFTAの現状と先行きを説明

説明するグアハルド経済相

あいさつする片野坂委員長

経団連(中西宏明会長)は6月12日、東京・大手町の経団連会館で、メキシコのイルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル経済大臣を来賓に迎え、駐日メキシコ大使館、メキシコ経済省とともに、「メキシコ通商政策セミナー」を共催、64名が出席した。冒頭あいさつしたカルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使は、日本とメキシコは130年にわたり緊密な関係を続けており、親和的で社会・経済面においても相互補完的であると指摘し、足もとで1200社を超える日本企業がメキシコで活動していることに感謝の意を示した。

続いて、来賓のグアハルド経済相が、メキシコをめぐる自由貿易協定の現状と先行きについて説明を行った。概要は次のとおり。

■ 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)

2017年1月のトランプ大統領による米国のTPP離脱宣言以降、米国を除く11カ国での締結に尽力し、18年3月の高い水準での「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(CPTPP)の署名に至った。現在、11カ国のほか、タイとコロンビアも明確に加盟意思を示しており、多国間貿易体制を揺るがす動きが多方面から出ているなか、新時代の貿易協定として強いシグナルを発している。今後、米国がCPTPPへ戻る意思を示すなら、温かく迎えたい。

■ 北米自由貿易協定(NAFTA)

当初1カ月程度で終わるとみられていたNAFTA再交渉は、現時点で1年以上続いている。NAFTAは締結から20年以上が経過しており、その間、エネルギー、通信、eコマース等多くの分野で大きな状況の変化が生じているため、近代化が欠かせない。同時に、グローバルな大企業のみが裨益すると批判されていたことを踏まえ、包摂的な内容とすることも重要である。

最大の懸念事項は、3カ国が5年ごとに合意しない限り協定が失効してしまうことを定める「サンセット条項」である。これは、予見可能性を脅かすもので、投資意欲を削いでしまうおそれがある。メキシコとカナダは、5年ごとに3カ国それぞれがシンクタンクを指定し、レビューすることを提案している。11月に米国で中間選挙が予定されており、9月中あるいは10月初頭にもまとめたいが、国益にかなった内容にしなければならない。

【国際協力本部】