Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月5日 No.3368  「日本海側の拠点港を目指す金沢港」 -谷本石川県知事が幹事会で講演

講演する谷本知事

経団連は6月19日、東京・大手町の経団連会館で幹事会を開催し、谷本正憲石川県知事から「日本海側の拠点港を目指す金沢港」をテーマに講演を聞いた。谷本知事からは、金沢港が国際物流の拠点として、また豊かな観光資源を有するクルーズ寄港地として、急成長を遂げている現状と今後の課題について説明があった。概要は次のとおり。

2015年に開業した北陸新幹線は大きな経済効果を及ぼし、北陸地方はかつてない勢いで成長を遂げている。金沢港の港湾機能の著しい発達も北陸の成長に大きな貢献を果たしている。1963年の北陸地方の記録的な豪雪により交通機関が途絶し、生活物資確保のための港湾設備の必要性が認識されたことを受けて、70年に金沢港は開港したが、長年利用が伸び悩んでいた。

近年、大水深化やアクセス道路の整備など港湾機能を拡充するとともに、官民一体となったポートセールスを展開した。その結果、金沢港の国際コンテナの取扱量は、2017年には重要港湾102港中第2位(重量ベース)となった。経済のグローバル化によって、地元企業を中心に輸出が拡大し、生産拠点に拠点港湾があることで、国内の物流コストの削減にもつながり、地元企業の国際競争力、地域経済の発展に重要な役割を果たしている。

また、加賀百万石の伝統文化と歴史などの魅力的な観光資源を活かし、クルーズ船の誘致にも力を入れている。欧米の富裕層を対象とした「ラグジュアリー船」は年々増加するとともに、首都圏等から新幹線で来る観光客を対象とした金沢発着型クルーズ(「レール&クルーズ」)も好評で、国内外から寄港地としての人気が高まっている。

今後の課題としては、クルーズ船の大型化やターミナル施設の老朽化、クルーズ機能と貨物機能の混在などへの対応がある。東京オリンピック・パラリンピック開催前の19年度を目標に、これらの課題の解消を図る予定である。

かつては無駄な公共事業と揶揄もされた金沢港だが、現在、目覚ましい成長を遂げているのも、1970年の港湾整備があっての賜物である。社会資本整備は中長期的な視点をもって進める必要がある。

【総務本部】