Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月12日 No.3369  農業の将来像について官民の若手が議論 -農林水産省「チーム2050」との懇談会

経団連は6月22日、東京・大手町の経団連会館で、農林水産省の若手職員で構成される「チーム2050」と会員企業の若手社員との懇談会を開催、約70名が参加した。チーム2050は、農業の将来像ならびに政策のあり方について、長期的な視点から検討を深める活動を行っており、省内での自主的な勉強会にとどまらず、企業等関係者と幅広く政策討議に取り組んでいる。今回はその一環として、今後注力すべき政策等を中心に農水省および経団連会員企業によるプレゼンテーションならびにグループディスカッションが行われた。

冒頭、髙橋勝俊農業活性化委員会企画部会長は、「農業の将来像を描き、切り拓いていくうえでは、未来社会を担う若手の考えを政策に反映することが不可欠だ」と述べ、官民の若手による活発な議論に期待を寄せた。

プレゼンテーションでは、「チーム2050」活動概要の説明後、グループディスカッションにつながる議論の要素として、トヨタ自動車、ヤマトホールディングス、博報堂DYホールディングス、NTTグループからそれぞれ、「無駄の徹底排除により原価低減を図るトヨタ生産方式を農業に応用した『豊作計画』」「農水産品の輸出拡大に向けた保冷輸送等の流通インフラ整備に関する取り組み」「情報発信と販路開拓により農産物の価値を顧客に伝える農業マーケティング活動」「農業ICTソリューションをフードバリューチェーン全体に取り込んだサービスの構想」を紹介した。

その後、「農業の将来像と今最も注力すべき政策」というテーマのもと、5つのグループに分かれて議論。ディスカッション後の討議内容の発表では、農地集積、企業参入促進、生産から消費までのデータ連携によるマーケットインの実現等、農業の構造改革を促すべきだとの意見が出される一方で、農業従事者の暮らしや慣習等を踏まえた政策の必要性も指摘された。

最後に、髙橋部会長が、「日本の基幹産業であり、独特の伝統や考え方を持つ農業をさらに発展させていくため、技術活用や質を武器としたマーケティング戦略の展開が重要だ」と総括し、討議を締めくくった。

将来の農業政策のあり方を検討するうえで、今回のような官民の若手が活発に意見を交わすという取り組みは非常に画期的である。今後、農業活性化委員会では、継続的な実施を検討していく。

【産業政策本部】