Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年8月9日 No.3373  夏季フォーラム2018 -第3セッション「デジタライゼーション」「人口減少社会下における地方創生」「働き方改革と生産性向上」テーマに分科会形式で討議

夏季フォーラム第3セッションでは「デジタライゼーション」「人口減少社会下における地方創生」「働き方改革と生産性向上」をテーマに、分科会形式で討議を行った。各分科会の議論のポイントは次のとおり。

■ 第1分科会「デジタライゼーション」(議長=山西健一郎副会長)

山西副会長

冒頭、議長の山西副会長から「第2セッション『デジタライゼーションと産業構造の転換』の議論を具体的に深め、Society 5.0の実現に向けた道筋を探りたい」との発言があった。続いて戦略事例紹介として、十倉雅和副会長(バイオ・農業)、佐藤康博審議員会副議長(金融)、畑中好彦副議長(ヘルスケア)、井阪隆一副議長(流通・小売)から各分野のデジタライゼーションの動向やSociety 5.0時代の産業像について発表があり、データ利活用のエコシステム、デジタル化やデータ活用を担う人材の育成や組織の整備、顧客の価値体験の重要性などが共有された。

それを踏まえて、後半には横断的な課題について議論し、「米中に対抗する観点からも、多種多様なデータを組織や業界を越えて共有することを原則とすべきだ」「産学官連携によるイノベーションエコシステムの構築が急務」「データの取り扱いに関するポリシーを定めるべきだ」といった発言があった。また、今後の経団連活動に対して、「Society 5.0のイメージ映像の作成や各社の取り組みに関連づけたPRなど周知・広報を強化すべきではないか」との提案があった。

経団連では同分科会での議論をもとに、「未来社会協創会議」においてSociety 5.0の全体像や克服すべき課題、グローバルな展開策を検討していく。

■ 第2分科会「人口減少社会下における地方創生」(議長=隅修三副会長)

隅副会長

冒頭、議長の隅副会長が、地方創生の全体的な動向と経団連の取り組みについて説明。「人口減少問題がすべての課題の原点となっている。地方創生に真に有効な施策について、議論を進めていきたい」との発言があった。

続いて問題提起として、片野坂真哉副会長から、「観光分野では広域でのルートの策定など広域連携が進んでいる。他分野でも促進すべきである」、浅野邦子審議員会副議長から、「行政サービスの維持・行政コストの削減・地方分権の推進の点からも広域連携は必須。広域行政圏の形成を進めていく必要がある」といった発言があった。

これらを踏まえ、意見交換では、「人口減少・高齢化が急速に進むなか、すべての地域でユニバーサルサービスの維持が困難になるとの危機意識を持つ必要がある」「国としてもグランドデザインを明確にするとともに、各地域においても、民間活力を活かすかたちで活性化を図る必要がある」「観光分野の取り組みをモデルに広域連携を進める必要がある」といった意見が出された。

■ 第3分科会「働き方改革と生産性向上」(議長=工藤泰三副会長)

工藤副会長

冒頭、議長の工藤副会長から、「日本では労働力人口の減少が進行するなか、人手不足が深刻化しており、労働生産性の向上なしには企業が成長できなくなっている。特に、サービス業、中小企業、ホワイトカラーの低い労働生産性は大きな課題である。労働生産性向上と働き方改革に一体的に取り組んでいくうえで、労働生産性の低い要因と経団連、政府、企業それぞれの役割を議論したい」との発言があった。

続いて問題提起として、國部毅副会長から、「働き方改革の目指すべき方向性として、新たな産業の担い手となる人材の育成や円滑な労働移動、新技術の活用を促進し、日本が直面しているグローバル化、デジタル化、少子高齢化といった構造変化に対応していくことが求められる」、冨田哲郎副会長からは、「イノベーション創出のためには、挑戦する風土を醸成し、社員一人ひとりが一層の働きがいを感じられる環境を構築すること、また、高齢者雇用を企業の社会的責任ととらえ、企業の成長に寄与するかたちで活用していくことが重要である」との発言があった。

これらを踏まえ、意見交換では、「ドイツの労働4.0のように、Soceity 5.0を実現するための働き方改革5.0を整理・体系化することが重要」「時間、場所等に縛られない柔軟な働き方が労働生産性向上につながる」「補助金制度や休暇制度を拡充することで、リカレント教育を推進していくべきだ」といった意見が出された。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】