Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年9月20日 No.3377  提言「農業 先端・成長産業化の未来 ―Society 5.0の実現に向けた施策」を公表 -2030年の農業の姿とロードマップを提示

経団連は、Society 5.0の実現を最重要課題として位置づけ、各分野における必要な施策を推進することとしている。この一環として、9月18日、Society 5.0時代の農業の将来像と具体的施策を盛り込んだ提言「農業 先端・成長産業化の未来 ―Society 5.0の実現に向けた施策」を公表した。

提言では、農業は「先端技術によって変革する余地が極めて大きい産業」と位置づけたうえで、Society 5.0が実現すれば、経団連が目指してきた農業の先端・成長産業化、さらには農業従事者の減少や農地の維持管理といった社会的課題の解決にもつながると指摘。その実現には、政府・農業界・経済界・国民等のあらゆる関係者が将来像を共有し、技術開発と構造改革を推進することが不可欠としている。

そこで、まず目指す将来像である2030年の農業の姿として、生産から加工・物流・販売・輸出までのフードバリューチェーンの側面から描いている(図表参照)。「生産」では、AI・ロボットの導入、だれもが自由に参入できる環境整備による生産性向上、「加工・物流・販売等」では、リアルタイム情報共有による最適化や消費者ニーズの反映による多様な食・サービスの提供、「海外展開」では、農林水産物・食品の大規模輸出、生産技術・ノウハウの輸出によるSDGs達成への貢献等が実現すると想定している。

Society 5.0が拓く農業の将来像

この将来像を現実のものとするうえで必要となる制度について、大きく3つの項目について、30年に至るまでのロードマップとあわせて示した。第1は「研究・開発と普及の促進」で、司令塔の設置、データ連携基盤の構築等を通じて、研究・開発と社会実装・普及に取り組む「イノベーション・エコシステム」を構築すべきとしている。第2は「経営体の潜在力を引き出す制度・ルールの構築」で、多様なプレイヤーが自由に活躍し、ニーズに沿ったサービスを提供できるよう、農業関連法制度の抜本的改革、物流最適化に向けた既存制度の標準化等を強調した。第3は「海外展開の推進」で、農産物の大規模ロットでの輸出、さらには技術・システムの輸出に向けて、ターゲット品目の選定とリソースの集中投下、輸送網整備等を訴えている。

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経団連では、提言に基づき、将来像の実現に向けた取り組みを関係各方面に働きかけていく。

【産業政策本部】