Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年9月27日 No.3378  「第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に向けた提言」を公表 -アフリカのビジネス環境整備に向けた施策を整理

経団連は9月18日、提言「第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に向けて」を公表した。今回の提言は、来年8月に横浜で開催されるTICAD7に向けて、アフリカにおけるビジネス環境の整備などについて日本の経済界の考えを明らかにすることを目的としている。

まず提言では、TICAD7に向けた戦略の方向性として、「イノベーション推進による包摂的成長の実現」「自由で開放的な国際経済秩序の維持・強化と地域経済統合の推進」「官民連携による戦略的パートナーシップの形成」「パートナー国の重点化」の4つの視点を示している。特に「イノベーション推進による包摂的成長の実現」においては、わが国におけるSociety 5.0実現の取り組みも踏まえつつ、革新技術を最大限に活用した幅広いイノベーションを通じて、アフリカにおける産業高度化や食料安全保障、保健、環境問題等の幅広い分野におけるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献すべきだとしている。

こうした視点を踏まえ、提言では、基盤インフラの整備や法制度等ハード・ソフト両面の改革、人材育成、社会安定化について、日本とアフリカの政府関係機関や国際機関が取り組むべき課題を整理している。

1.ハード面(基盤インフラ関係)の整備

アフリカでは、道路、鉄道、港湾、電力、住宅、通信、上下水道等の事業活動および生活の基盤インフラの整備が十分に進んでおらず、日本企業によるアフリカ事業の大きな阻害要因となっている。こうした状況を踏まえ、わが国政府は、引き続きアフリカにおけるインフラ整備に向けた支援を強化する必要があるとして、円借款や無償資金協力、JICA(国際協力機構)海外投融資、JBIC(国際協力銀行)投融資の拡充および融資条件の緩和、NEXI(日本貿易保険)による保証の拡充等の公的金融支援の拡充を求めている。

また、インフラ整備をめぐって海外諸国との競争が激化するなかで、今後とも官民一体となって質の高いインフラの整備を進めることが不可欠であるとして、「MADE WITH JAPAN」の理念のもと、ホスト国のニーズを踏まえた最適なトータルソリューションを提供することを提案している。

2.ソフト面(法制度や行政手続等)の整備

日本企業のアフリカ進出を促進するためには、ソフト面の整備も不可欠である。例えば政府職員による汚職・不正の是正等のガバナンスの強化や、外資制限の撤廃・緩和、日本とアフリカ諸国ならびにアフリカ諸国間の経済連携協定、投資協定、租税条約の早期締結等を提言した。

3.人材育成の強化

上述のハード面、ソフト面の改善を図るためにも、それを支える人材の育成強化が不可欠である。例えば、2014年から5年間で1000人のアフリカの若者に対し、日本の大学での教育に加え、日本企業でのインターンシップの機会を提供する「ABEイニシアティブ」は、企業からも高く評価されており、提言では卒業生のフォローアップや後継プログラムの創設を求めている。

4.社会安定化の促進

最後に、アフリカの発展には社会安定化に向けた取り組みを強力に進める必要があるとして、治安上の懸念への包括的対応や、保健システムの強化、在アフリカ各国大使館等による各種情報提供の強化および医療サービスの充実等を提言した。

【国際協力本部】