Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月18日 No.3381  「経団連生物多様性宣言・行動指針」を改定 -SDGsやパリ協定の採択を踏まえ9年ぶりに改定

経団連と経団連自然保護協議会(二宮雅也会長)は10月16日、「経団連生物多様性宣言・行動指針」の改定版を公表した。

同宣言・行動指針は、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD・COP10)に先駆け、生物多様性に資する行動を一層推進するため、09年に経団連として策定・公表したもの。生物多様性にかかる経済界の自主的取り組み、実践重視の考えを示し、国際的にも評価されている。

一方で、宣言・行動指針の策定から9年が経ち、この間、「愛知目標」をはじめSDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定の採択といった、生物多様性にかかわりの深い重要な国際合意がなされたことや、わが国経済界の取り組みが着実に実績を重ねてきたこと、さらには愛知目標の最終年が20年に迫っていることやISO14001の改訂に伴う生物多様性への配慮義務の導入がなされたことなど、宣言・行動指針に新たな視点・内容の追加が必要となっていたことから大幅に改定を行うこととした。

改定のポイントは次の3点である。

第一は、経営トップが率先して、生物多様性の重要性を認識した企業経営を行うことを通じ「自然共生社会の構築を通じた持続可能な社会の実現」を目指すことを宣言したことである。自然共生社会の構築に向けた活動は、SDGsの複数のゴールに貢献すると位置づけている。

第二は、地域の特性に応じたローカルな取り組みを自主的に推進することに加え、グローバルなサプライチェーンにもその取り組みを広げていくことの重要性を盛り込んだことである。

第三は、自然共生社会の構築は、気候変動対策や資源循環対策にも密接に関連していることから、それらの幅広い環境活動を事業活動のなかに取り込み「『環境統合型経営』の推進」を提案したことである。「環境統合型経営」は、今回打ち出した新しい概念である。

このほか、東日本大震災をはじめとする自然災害の大きな経験をしたことなどを踏まえ、「自然資本を活用して地域の創生や国土の強靱化に貢献する」こと(防災・減災の視点)を盛り込んだ。

自然共生社会の構築に向けた経済界の自主的取り組みの重要性や、取り組むうえでの多様な主体による連携・協働の重要性、環境教育・人材育成への経済界の貢献についても引き続き記している。

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同宣言・行動指針の内容は、11月にエジプトで開催されるCBD・COP14のサイドイベント等において、「ポスト愛知目標」を見据えた日本経済界の取り組みとしてグローバルに発信する予定である。

なお今般、経団連自然保護協議会は、具体的な行動のための「手引き」の改定も行った。新しい「宣言・行動指針」 「手引き」の全文は、経団連ウェブサイトに掲載している。

【環境エネルギー本部】