Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月25日 No.3382  リトアニアのシンケヴィチュス経済相と懇談 -日本とリトアニアの経済関係強化に向けて/ヨーロッパ地域委員会

シンケヴィチュス経済相(中央)と
越智委員長(右)、清水部会長(左)

バルト三国の1つであるリトアニアからヴィルギニユス・シンケヴィチュス経済大臣が来日し、10月9日、東京・大手町の経団連会館に越智仁ヨーロッパ地域委員長らを訪問した。

今年7月に日本と欧州連合(EU)双方の首脳が署名した日EU経済連携協定(EPA)が批准・発効した暁には、リトアニアから日本への魚介類や乳製品等の輸入が伸びる一方、日本からリトアニアに対しては自動車等の輸出増加が期待されている。

懇談におけるシンケヴィチュス経済相の発言の概要は次のとおり。

■ リトアニア経済・産業の特長 ~急速に進展するイノベーション

リトアニアでは乳製品や肉類・魚類等の食品加工業が発展しており、実に120以上の国々に輸出するなど、リトアニア経済の中核的なセクターとなっている。光学機器やレーザー等の先進的な機械類に加え、対日輸出という観点から期待されるのは、プラスチックや肥料といった化学製品や繊維・衣料品等である。

他方、近年のリトアニア経済を牽引するのはイノベーションである。わが国ではEUの方針を踏まえ、AIに関する戦略を策定するほか、電子政府を推進している。例えば政府が保管する土地・ビジネスの登記を分散型ネットワークであるブロックチェーンに載せることで、政府の公開性や透明性を確保している。また、フィンテックによって、金融機関の登録免許がEU加盟国中最短の1カ月で取得できるようになっている。2009年に就任した女性のダリア・グリボウスカイテ大統領に象徴されるように、女性の社会進出が進んでいるリトアニアでは、ICT分野における女性活用を促すプログラムも充実している。

■ 魅力的なビジネス環境を備えたリトアニアにミッション派遣を

こうした経済・産業構造を反映してか、世界銀行が毎年実施するビジネス環境ランキングにおいて、リトアニアは16位に位置している(日本は34位)。インターネット接続が世界最速水準にあるほか、バルト三国のなかでも最高水準の道路をはじめ港湾や空港、鉄道等のインフラが整備されている。その一方で、バルト海に面した西部のクライペダ港は、増加する貨物取扱量に対応すべく再開発が必要であり、官民連携(PPP)を進めるうえで信頼できるパートナーを求めている。

リトアニアは日本との協力のもと、アジア・ヨーロッパにおいて雇用と価値を創出していきたいと考えている。経団連には、リトアニアの優れたビジネス環境を直接確認いただきたく、ミッション派遣をお願いしたい。

【国際経済本部】