Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385  提言「パリ協定下での実効性と公平性ある地球温暖化対策の実現に向けて」を公表 -COP24交渉等のあり方と今後の経済界の取り組みを提示

2015年12月、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、京都議定書に代わる新たな地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択された。パリ協定およびCOP21決定は制度の大枠を定めたものの、制度を実行段階に移すためには詳細な実施指針が必要となる。今年12月、ポーランド・カトヴィツェで開催予定のCOP24において、パリ協定の実施指針への合意が目指されているものの、先進国と途上国を中心とする対立は解消されておらず、合意に向けては道半ばの状況にある。

こうしたなか、わが国政府にパリ協定が実効性と公平性の確保された枠組みとなるよう、COP24での交渉において最大限の努力を求める観点から、経団連は11月13日、提言「パリ協定下での実効性と公平性ある地球温暖化対策の実現に向けて」を取りまとめ公表した。

■ 実施指針交渉の鍵を握る重要分野での合意

パリ協定の実効性と公平性の確保のためには、主に「すべての国の協定への参加」「各国共通のルール」「プレッジ&レビュー方式による適切なPDCAサイクルの推進」等の要件が充足されることが不可欠である。事業環境の国際的なイコールフッティングの観点からも、これらの実現が強く望まれる。

とりわけ、同協定の実効性と公平性を左右する重要な分野として「透明性」と「資金」がある。「透明性」については、能力の高い新興国は先進国と共通のルールとすべきである。「資金」についても、各国が能力に応じて公平な資金拠出を行うルールとすることが求められる。

■ わが国の国際的プレゼンスの向上に向けて

近年、COPにおいて、NGOや民間企業等のノンステートアクター(非国家主体)が主催するサイドイベント等に注目が集まっている。

政府には、官民連携のもと、COPサイドイベント等を通じ、地球温暖化対策におけるわが国の強みや世界での貢献等を具体的に発信することで、わが国の国際的プレゼンスを高めていくことが求められる。あわせて、今後の地球温暖化対策の柱の1つである、グローバル・バリューチェーン(GVC)を通じた温室効果ガスの削減貢献の取り組みについても、官民連携のもと、各国の理解を獲得していく活動が重要となる。この一環として経団連は、今般、「グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献」のコンセプトブックを刊行した。

■ 今後のわが国経済界の取り組み

経団連は、実効性と公平性が確保されたパリ協定の枠組みのもとで、経団連低炭素社会実行計画の着実な推進を中核として、企業・団体における2050年を展望した温暖化対策の長期ビジョンの策定の働きかけ、グローバル・バリューチェーンを通じた温室効果ガスの削減貢献、海外経済団体・企業等との連携、イノベーションの推進等を通じて、引き続き、自主的かつ主体的に地球温暖化対策に尽力していく。

【環境エネルギー本部】