Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385  日独ビジネス・ラウンドテーブルを開催 -両国の貿易拡大やデジタル社会への転換に向けて議論

経団連は10月31日、東京・大手町の経団連会館で、ドイツのペーター・アルトマイヤー経済エネルギー大臣が初来日した機会をとらえ、日独ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)を開催した。

経団連側からは中西宏明会長、古賀信行審議員会議長、篠原弘道副議長・情報通信委員長、越智仁ヨーロッパ地域委員長ら13名、ドイツ側からはアルトマイヤー大臣のほか、フベルト・リエンハルト・ドイツ財界アジア太平洋委員会会長をはじめ経済ミッション幹部など41名が出席し、日独貿易・投資の拡大やデジタル社会への転換に向けた方策等について議論を行った。概要は次のとおり。

■ アルトマイヤー大臣スピーチ

米国が貿易の圧力を強めるなど国際情勢が厳しさを増すなかで、ルールに基づく自由で開かれた市場を守るため、日本とヨーロッパが協力する必要がある。そのためにも、署名済みの日EU経済連携協定(EPA)を可能な限り早期に批准・発効させたい。

こうしたなか、日独協力は今後一層重要性を増していく。真に緊密な経済関係を実現するためには、両国の若者が互いの言語を学習するなど、文化的な側面での交流も肝要である。

また、デジタル社会への転換という観点からは、イノベーションの推進がとりわけ重要である。インターネットのプラットフォームに関して、日本やヨーロッパは米中に後れを取っている。AI(人工知能)をはじめイノベーションが急速に進展するなか、製品やサービスの付加価値の大半が国外で創出されるようになっている。経済担当大臣としても、制度的なインフラ整備など、日独経済界の取り組みを可能な限り支援していきたい。

■ リエンハルト会長スピーチ

英国のEU離脱や米中貿易戦争など不透明さを増す世界にあって、世界第3と第4の経済大国である日本とドイツは、ルールに基づく競争的なグローバル・ネットワークを維持すべく、世界をリードしていく必要がある。この点、共通の価値観に基づく、世界のモデルともなる日EU EPAが発効した暁には、貿易をはじめ双方消費者にも大きな便益をもたらすことが期待される。

米国が保護主義的な貿易政策に傾く一方、中国は国家資本主義という独自の路線を歩んでいる。こうしたなか、欧州自体が強靱な経済を実現すると同時に、日本や豪州、ニュージーランド、カナダなど有志国との間で透明性の高い協力関係を構築していく必要がある。

■ BRTの主な議論

貿易・投資に関するセッションでは、日EU EPA等を基盤として自由で開かれた国際経済秩序を築き、米国を多国間枠組みにとどめるための方途等について具体的な意見が交わされた。

一方、デジタル社会への転換に関するセッションでは、AIやIoTを活用したドイツのIndustrie 4.0の具体例を共有しつつ、国境を越えたデータ流通を確保するためのルール形成や国際的な調和など、日本のSociety 5.0との融合のあり方などについて活発な議論が展開された。

最後の未来のモビリティに関するセッションでは、電気自動車の開発・普及に向けたドイツ側の協力呼びかけに対し、経団連側から、自動運転推進プラットフォームに関する情報共有に意欲が示された。

【国際経済本部】