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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385 OECD/BIACと国際課税に関する会議開催 -税の安定性の確保と電子経済に対する課税のあり方等について意見交換

あいさつするサンタマン局長

経団連の税制委員会(宮永俊一委員長、林田英治委員長)と21世紀政策研究所は10月25日、東京・大手町の経団連会館でOECDおよびOECDに対する民間経済界の諮問機関であるBusiness at OECD(BIAC)と国際課税に関する会議を開催した。同会議はOECD/G20によるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを契機として2015年に始まったものであり、今回で第4回となる。

会議には林田経団連税制委員長、青山慶二21世紀政策研究所研究主幹(早稲田大学大学院教授)、パスカル・サンタマンOECD租税政策・税務行政センター局長、安居孝啓財務省主税局国際租税総括官、岡田至康BIAC税制財政委員会副委員長、会員企業ら約200名が参加した。

15年10月にBEPS最終報告書が公表されてから約3年が経過した。この間各国は、国別報告事項など、最終報告書で勧告された内容について国内法制化を進めている。また、実際にBEPSで勧告された枠組みが実行に移され、今年6月末までに(わが国では9月末までに)、BEPS行動13に基づいた国別報告事項(CbCR)の最初の交換が行われている。多国間協定についても、18年の7月に発効され、わが国も国会承認を通して、15番目の批准通知国となった。こうした情勢を踏まえ、林田委員長は開会あいさつのなかで、「国際課税の分野における国際協調の取り組みは確実に進展しているといえる」と述べたうえで、「各国に対して一貫性のある行動を促すとともに、紛争の防止・解決を確実なものとし、納税者にとっての税の安定性を確保することが重要である」と指摘した。また、国際的に大きなテーマとなっている電子経済に対する課税については、「独自に課税を行おうとする国が出てきているなかで、OECDがイニシアティブをとって統一的な取り扱いを示すことは極めて重要である」と指摘した。

これに対しサンタマン局長は、「電子経済の問題は合意に基づいた解決策が必要となっている」と応じたうえで、19年に日本がG20の議長国を務めることもあり、日本の経済界が重要な役割を果たせるとの認識を示した。

会議では、税の安定性に関し、各国におけるBEPS勧告の一貫性ある実施や国別報告事項の適切な使用、PE(恒久的施設)の恣意的な認定について日本企業から懸念の声が出された。また、電子経済については、一部の国・地域によるユニラテラルな課税では、経済的に二重に課税されるおそれや紛争解決手段が有効に機能しないおそれがあるため、OECD/G20におけるマルチラテラルな解決に期待しているという意見や、電子経済の議論に乗じて安易に源泉地国課税を強化する流れを警戒する意見が日本企業から出された。またこのほか、平成31年度税制改正で見直しの検討がなされている評価困難な無形資産に対する課税手法(所得相応性基準)等についても取り上げ、日本企業の問題意識をOECDや財務省の政策当局者に伝えた。

【経済基盤本部】

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