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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385 生活者を取り巻く環境の変化について聞く -生活サービス委員会

経団連は10月15日、東京・大手町の経団連会館で生活サービス委員会(石塚邦雄委員長、高原豪久委員長、澤田道隆委員長)を開催し、経済産業省の藤木俊光商務・サービス審議官、シェアリングエコノミー協会の上田祐司代表理事、クリエイティブタウン推進機構の勝栄二郎評議委員から、最新の消費動向等について説明を聞くとともに種々懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 経済産業省「キャッシュレス社会への取り組み」

世界各国のキャッシュレス比率が40~60%であるのに対し、日本は約20%と、大きく後れを取っている。これは、日本の治安のよさや偽札の少なさ、高い導入費用や決済手数料等が要因と考えられるが、近年顕著になってきた人手不足に対応し、小売業・サービス業の生産性を上げるためにも、キャッシュレス化は重要であり、普及を進めていく必要がある。

そのポイントは、いかに消費者に利便性を感じてもらうかであり、そのためには、キャッシュレス化だけではなく、商流・物流・金流の一体的な情報化が必要である。例えば、RFIDや店頭カメラ、ペイメントが一体化することで、レジレス・ストレスフリーな買い物を体験できる。経産省では、今後10年でキャッシュレス比率を40%に引き上げることを目標にしており、消費者目線のキャッシュレス社会の実現を目指していく。

■ シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミーの現状」

「シェアリングエコノミー」とは、「さまざまなモノ・サービスをネット上・個人間でシェアをする動き」と位置づけている。シェアリングエコノミー市場は世界でも急速に伸長しており、公式の統計にはないが、例えば中国では2017年度、80兆円もの市場規模を有するといわれるまでになっている。日本の普及度合いも、各国に比べ低いものの確実に伸びている。

急速な普及の背景として、ソーシャルメディアやスマートフォンの普及が挙げられる。多くのモノがインターネットにつながり、SNSなどにより他者が発信したものを受け入れ、信じる新しい文化が形成されてきていることが、こうしたサービスの提供を可能にしている。同時に、スキルがなくても、個人の遊休資産を活用して、誰もが経済活動に参画できる社会となってきている。

シェアリングエコノミーは、ライドシェアによる交通手段の提供や子育て経験のある主婦への保育依頼等、地域が抱える課題の解決にも貢献できる可能性を秘めており、今後もさまざまな分野で浸透が進むものと思われる。実際、海外の都市では、シェアリングサービスを新しいインフラとして活用する「シェアリングシティ」の動きも出てきている。

■ クリエイティブタウン推進機構「生活産業視点の街づくり」

クリエイティブタウン推進機構は、街づくりから始まる活性化モデルを全国展開するということで、まずは石巻市街地の復興・再開発プロジェクトをモデルとして活動を開始した。石巻では、快適で安全な生活基準の構築、生活に必要な産業を創出する視点から、地元主導・エリアの絞り込み・共通したデザインコードの設定・地元産業の活性化という、4つの方針に基づき街づくりを進めており、一定の成果が出ている。

今後、人口減少が進み、生活環境が大きく変わることが想定されるが、コンパクト化・集約化を進めるにあたってはクリエイティブタウンの思想が重要となる。街づくりの新しいモデルとして提議できるよう、取り組みを進めていく。

【産業政策本部】

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