Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月17日 No.3392  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は1月15日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、2019年版経労委報告に言及。従来どおり各社の事情に応じて、賃金引き上げに前向きに取り組むよう呼びかけていくとしたうえで、働き方改革を促し、従業員のモチベーション向上につなげていくことが重要との認識を示した。また、デジタル・トランスフォーメーションの時代には、企業活動の付加価値を不断に高めていかなければならないと強調。仕事の変化に積極的に対応できるような処遇を用意することが重要であり、これはSociety 5.0の推進にもつながると述べた。

春季労使交渉については、転換点を迎えていると指摘。デジタル化が進み、業界区分が変化し支払い能力も企業により異なるなか、業界ごとに横並びで交渉するという考え方は成り立たなくなりつつあるとの認識を示した。また、「官製春闘」との指摘は否定したうえで、GDPの6割を占める個人消費を盛り上げるべくさまざまな手立てを講じる必要から、政府が経済界に賃上げを求めることは理解できるとした。

エネルギー問題については、2030年のエネルギー基本計画の実現、パリ協定に基づく削減目標の達成など課題が山積していることを挙げ、政官産学で真剣に議論する必要があると指摘。近年の猛暑や自然災害の激甚化は地球温暖化が一因ともいわれており、温室効果ガスの削減は地球規模の課題としたうえで、エネルギーの9割近くが化石燃料由来である日本の現状について言及した。

また、原子力発電所の再稼働が進まないことも課題であり、積極的に推進すべきとしたうえで、安全性の議論が尽くされていても地元の理解が得られないなか、広く議論することが必要であるにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていないと指摘。原子力をベースロード電源として使わない場合、長期的にみて何がエネルギー源になるのか考えると、再生可能エネルギーだけで賄うことは不可能であり、原子力技術を人類のために有効に使うべきとの認識を示した。

社外取締役の義務付け、役員報酬の開示などを軸に審議されている会社法改正案については、反対はしないが、会社は株主に対して責任を負っており、法律で縛るのではなく、株主が判断することであると指摘。ESG投資にはガバナンスが要件として入っており、ガバナンスがしっかりしていなければ投資の集まらない時代だと述べた。

【広報本部】