Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月14日 No.3400  社会貢献担当者懇談会が大阪で合宿勉強会を実施 -SDGsの視点で社会貢献活動を進化・深化させる

活動現場の視察

経団連の社会貢献担当者懇談会(山ノ川実夏座長、岩﨑三枝子座長)は2月22、23日の両日、15名の参加を得て、大阪府箕面市で合宿勉強会を開催した。勉強会では、同市において長年「誰一人取り残さない」「楽しんで行動」の視点でまちづくりに取り組んできたNPO法人「暮らしづくりネットワーク北芝」から活動内容について説明を受け、活動現場を視察した。地域課題との向き合い方、当事者の主体性の発揮、専門家との連携、成果の見える化など、SDGsに取り組むうえで重要な視点を学んだ。

■ 説明「暮らしづくりネットワーク北芝の活動」(池谷啓介事務局長)

箕面市北芝地区はいわゆる被差別部落であり、長年にわたり差別を受けてきたまちである。環境改善など行政と共に差別解消の取り組みを進めてきた。しかし、1980年代後半に運動の転換を図り、住民主体のまちづくり活動を進めている。

北芝では、住民の“つぶやき”をニーズととらえて事業化している。例えば、「隣のおばあちゃん、やせてきたけど食事しているかな」という心配から始まった茶粥の会は、参加する高齢者の健康変化を把握できる機会になった。また、配食や移送のサービス、コミュニティー農園、朝市、若者のチャレンジショップ、子ども食堂など、多様な活動が多様な担い手によって展開されている。

われわれNPOは、まちを経営する組織として地域全体を視野に入れ、個人や組織をサポートしている。また、北芝のまちづくり施策を識者の見解や住民の実感をもとに分析し、支えあいの装置とその機能を導きだし、全国に発信している。

■ 企業との協働によるSDGs実践事例「commpost」(川本健太郎立正大学社会福祉学部講師、喜多泰之ブランディングディレクター)

commpostを通じて達成をめざす目標

アパレル業界が抱える在庫衣料処理という問題を解決すべく、生まれた事業である。異なる素材が混合しリサイクルが難しい衣料を色で仕分けし、新素材と新製品を研究・開発した。同時に、生産過程で障がい者などの就労困難者や地域住民との協働を実現させた。ここでは就労困難者を「支援されるべき弱者」という旧来型の福祉の枠組みに置かず、企業の課題解決に必要な存在として位置づけている。

また、同事業が成果を生んでいる要因は、事業に関わる各組織の原理と譲れない領域を理解し、その中間地点で協働の場を設けたことにある。SDGsに取り組む際の協働のあり方として、参考になるだろう。

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翌日のグループ討議では、前日の説明・視察等を踏まえ、参加者が自社の社会貢献事例を題材に、取り組みの進化・深化に向けた工夫や課題などついて議論を行った。

【SDGs本部】