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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月21日 No.3401 「規制改革の推進体制の在り方に関する提言」を公表 -Society 5.0の実現に向けて政府一丸となった対応を求める

経団連は3月19日、「規制改革の推進体制の在り方に関する提言」を公表した。Society 5.0の実現に向けて、法制度や行政のリフォームがこれまでにも増して重要な課題となるなか、政府の「規制改革推進会議」が7月末に設置期限を迎える。そこで提言では、規制改革が停滞しないよう、既存の仕組みを見直したうえで、強力な推進体制を構築するよう求めている。

■ 規制改革をめぐる現状

第2次安倍内閣以降、政府は規制改革を成長戦略の柱と位置づけ、積極的に取り組む姿勢を示している。一方、規制改革は一朝一夕に進むものではなく、(1)岩盤規制の存続(2)新技術と既存規制の不適合(3)行政手続等のデジタル化を阻む規制の存在――がみられる。

規制改革の歩みが遅い背景には、既得権益や利権が複雑に絡み合う状況等があるが、これらを打ち破り改革を加速させるための組織や制度(図表参照)も機能不全に陥っている。このため、(1)規制の所管省庁が自律的・積極的に改革を進める仕組みが効果的に機能していない(2)規制改革会議のほかに、さまざまな会議体が林立し、政府内で規制改革に向けた統合的な推進力を得られていない(3)規制改革制度が多様化・複雑化するなか、利用者目線での運用が十分でない(4)地方分権改革を背景に、中央省庁の発信による全国規模の取り組みが難しい――という4つの問題が発生している。

規制改革の枠組みの全体像

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■ 規制改革の推進に向けた取り組み

規制改革をめぐる現状を踏まえ、政府に対しては4つの取り組みを求めている。

第1は、規制の見直しの実効性担保である。経済社会の環境変化が急速に進むなか、法令等を個別に検討する従来の手法から政府全体の構造改革方針に即して各省庁が改革すべき規制の棚卸しを行い、優先順位を定めて修正する手法に転換すべきである。そのうえでサンセット条項化も念頭に対象となる法制度に見直しの期限を設け、第三者が検討状況を確認することが重要である。

第2は、統合的な推進機関の構築とチームワークの発揮である。政府内の各会議体の規制改革機能を分離・統合した常設機関「規制改革統合本部(仮称)」の新設に取り組み、事務局体制も統合・拡充することが望ましい。

第3は、事務局体制と制度の拡充である。規制改革を担う事務局を一元化したうえで、全国・地域・企業単位の各規制改革制度を拡充し、制度の利用促進につなげることが重要である。

第4は、地方における規制改革の推進である。地方分権を尊重しつつ、国主導で全国レベルの改革を推進する観点から、(1)好事例の横展開(2)地方で異なる規制事例の収集・分析・提供(3)国と地方の役割分担の整理――が有効と考えられる。

官民共通の取り組みとしては、Society 5.0に向けた規制改革の「哲学」をわかりやすい言葉で設定し、浸透を図ることで国民からの支援を得る必要があると記述している。

最後に、経団連自身の取り組みとして、規制改革の実現可能性を高めるために、規制改革推進会議後の新組織との連携強化や、規制改革要望の作成方法の見直しを行うとしている。

◇◇◇

規制改革の推進体制を実現する過程では、法制度の改正を含めた重要な局面が発生し、政治の強力なリーダーシップの発揮が求められる。経団連は政府・与党との連携をこれまでにも増して強め新たな推進体制の構築に全力で取り組んでいく。

【産業政策本部】

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