Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月28日 No.3402  法務省の近時の取り組みについて聞く -経済法規委員会企画部会

経団連は3月5日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会企画部会(佐久間総一郎部会長)を開催し、法務省から近時の取り組みについて説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 所有者不明土地問題の解消に向けた法務省の取り組みと今後の課題
(大谷太民事局参事官)

土地の所有者が死亡しても相続登記がされないことなどを原因として、「所有者不明土地」が生じており、所有者の探索に多大な時間と費用を要するなど、土地の円滑・適正な利用に支障を来している。この問題の解消に向け、政府は、2020年までに必要な制度改正の実現を目指す方針としており、関係省庁で検討が進められている。

法務省では、市町村窓口と連携した相続登記の促進などのこれまでの取り組みに加え、一昨年10月から、登記制度・土地所有権のあり方等に関する検討を進めてきた。その成果を踏まえ、まず、表題部に所有者の氏名・住所が正確に記録されていない「変則型登記」の解消に向けた法案を今国会に提出している。また、所有者不明土地の発生を予防するための仕組みやこれを円滑・適正に利用するための仕組みを整備する観点から、民法、不動産登記法の見直しについて、今月から、法制審議会の部会での検討を開始する。相続登記の義務化や土地所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割に期間制限を設けることや共有関係にある所有者不明土地の利用に向けた方策などについて検討を深めていく。

■ 京都コングレス開催に向けた政府の取り組みおよび協力のお願い
(松本朗官房国際課国際戦略室長)

(京都コングレスのロゴ)

2020年4月20~27日に、京都市内で第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開催される。同会議は、5年に1度開催される犯罪防止・刑事司法分野における国連最大規模の会議で、国連事務総長や各国の司法大臣等が多数参加する予定である。

京都コングレスでは、「2030アジェンダの達成に向けた犯罪防止、刑事司法及び法の支配の促進」という全体テーマのもと、官民連携による防犯対策、犯罪対策のためのテクノロジーの活用等を議論する予定であり、「Society 5.0 for SDGs」を目指す会議といえる。

会場には、政府・企業などによる展示ブースが併設される。京都コングレスのテーマやSDGs(持続可能な開発目標)に関連する取り組みなど、幅広いテーマで展示を募集する予定であり、例えばセキュリティー関連の技術・製品・サービス、情報セキュリティー、サイバー攻撃対策、AI、防犯に強いまちづくりに関連するものなど、皆さまの応募をお願いしたい。

※ 詳細は京都コングレス公式ウェブサイト(http://www.moj.go.jp/KYOTOCONGRESS2020/)まで

■ ハーグ国際私法会議における判決プロジェクト条約草案の作成に向けた議論
(内野宗揮官房参事官)

ハーグ国際私法会議(HCCH)において、民事・商事紛争に関する外国判決の承認・執行に関する条約草案の作成が進められている。ある国における民事・商事上の判決の効力を他の国で認め、執行する場合のルールについて、その拒否事由なども含め、世界的な統一を図ることを目的とする。外国判決の承認・執行にかかるニーズ、メリット・デメリットなどを踏まえ、法務省として、同条約への対応について検討していく。

【経済基盤本部】