Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月16日 No.3407  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は5月7日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、米国による対中制裁関税の引き上げについて、中国への圧力として効果が大きいとの判断があるようだが、その影響は大きいと指摘。米国の中国警戒論については、中国関係のビジネスに従事している立場からの意見がある一方で、安全保障の観点からは無視できないという人も多く、幅があるとの認識を示した。4月末に開催された一帯一路国際協力フォーラムにおいて、中国のトップリーダーの多くが、中国は自由で開かれた貿易を支持しており、一帯一路は覇権的な意図はないと再三表明したものの、不信感を払拭することは難しいだろうとして、引き続き米中の動向を注視したいとした。

そのうえで、米中貿易摩擦が起きて1年が経過するなか、日本企業は無防備でいたわけではなく、現実にサプライチェーンの見直しも進んでいると説明。今後も情勢をよく見ながら対策を考えていかなければならないとの認識を示した。

日米貿易協定交渉に関しては、日本は為替を貿易不均衡とは別の問題として議論したいが、米国は一体的に議論することを望んでいると指摘。経済界も、全米商工会議所はじめさまざまなグループが意見を表明しているが、経団連が有するチャンネルを通じてコミュニケーションをとることが大事だと述べた。

テロ対策施設の建設期限に関する原子力規制委員会の方針について、期限内に特定重大事故等対処施設の設置を求める方針は、従来からの原子力規制委員会の考え方に則った判断であるとしたうえで、遅れが生じていることについてはそれぞれの事情があったものと考えるが、対応は各社の経営陣が判断することであるとの認識を示した。

10月の消費税率引き上げについては、政府にはどんな事情があろうとも実行してほしいと強調。多少の経済変動は起きるかもしれないが、適切に対処すればよいとした。

雇用のあり方をめぐっては、就労期間の延長が見込まれるなか、終身雇用を前提に事業活動を考えることには限界があると指摘。外部環境の変化によりこれまで従事していた仕事がなくなるという現実に直面し、経営層も従業員も社内外で活躍の場を模索して就労継続に努めていることに言及した。利益が上がらない事業で無理に雇用維持することは従業員にとっても不幸であり、新たなビジネスに挑戦することが重要との認識を示した。

【広報本部】