Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月30日 No.3409  「消費税転嫁対策特別措置法及び軽減税率制度に関する説明会」を開催

経団連は5月8日、東京・大手町の経団連会館で「消費税転嫁対策特別措置法及び軽減税率制度に関する説明会」を開催した。

消費税転嫁対策特別措置法(転嫁特措法)について公正取引委員会経済取引局取引部取引企画課の岡田律子課長補佐から、軽減税率制度について財務省主税局税制第二課の加藤博之課長補佐からそれぞれ説明を聞き、質疑応答を行った。説明の主な内容は次のとおり。

■ 消費税の円滑かつ適正な転嫁(公正取引委員会)

転嫁特措法は、下請法等をもとに、事業者間の取引において消費税率の引上げの際に生じ得る消費税の転嫁拒否等の行為を禁止した時限立法(2021年3月31日まで)である。

同法は、買い手である特定事業者が、売り手である特定供給事業者の商品または役務(サービス)を供給する際の対価について、消費税の転嫁拒否等の行為を行うことを禁止しており、消費税が生じる取引であれば、主要事業に付随する取引(例えば駐車場賃借)も対象となる。

禁止行為類型のうち、これまでの勧告および指導件数の約9割は「買いたたき」であり、特に契約自動更新や内税取引の場合にうっかり転嫁をし忘れている事例が多く見受けられる。特定事業者の故意や過失は要件ではないため、注意が必要である。なお、自己の供給する商品(例えばトレー包装した食品)が軽減税率の対象品目であっても、標準税率が適用される商品(例えばトレー)を納入する取引先に対して、消費税率引上げ分を上乗せした額よりも対価の額を低く定めることは禁止されている。

また、昨年11月に公表した「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」では、小売事業者が自らの経営判断により値引きを行うことに法令上の制約はないと示しているが、過剰な値引き行為は独占禁止法の不当廉売に該当するおそれがあるため、注意が必要である。

■ 軽減税率で事業者に求められる対応(財務省)

軽減税率制度の実施で複数税率が導入され、飲食料品の譲渡等が軽減税率の適用対象となる。適用税率は、売り手が販売時点において判断する。飲食料品等の仕入れも含めると、すべての事業者に影響がある。なお、リベートは、対価の返還であるか役務の提供の対価であるかなど、その目的・性質を当事者間で整理し、適用税率を適正に判断する必要がある。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入までの暫定措置である区分記載請求書等保存方式の仕入税額控除には、軽減税率の対象品目である旨・税率ごとに合計した対価の額(税込み)が記載された請求書等(これらの記載がない場合、自ら追記も可)と、軽減税率の対象品目である旨が追加された帳簿の保存が必要となる。なお、売り手に区分記載請求書の交付義務はなく、免税事業者の発行も認められる。

一方、23年10月1日から導入されるインボイス制度の仕入税額控除には、原則、区分記載請求書等保存方式の帳簿と、登録番号・適用税率・消費税額が記載されたインボイスの保存が必要となる。インボイスは、税務署長に対して申請し登録を受けた課税事業者に交付義務が生じ、免税事業者は交付できない。また、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合等に認められている帳簿のみの保存による仕入税額控除が、インボイス制度では原則認められなくなるため、注意が必要である。

【経済基盤本部】