Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年6月27日 No.3413  古賀審議員会議長一行が被災地を視察 -復旧・復興を牽引する事業者や自治体と懇談/震災復興特別委員会

南三陸町で震災の遺構を視察する一行

経団連の震災復興特別委員会(中西宏明委員長、古賀信行委員長)は6月3日から4日にかけて、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の沿岸部を視察した。震災発生から8年3カ月以上が経過し、記憶の風化が進むなか、政府の定める「復興期間」は2020年度末に終了を迎える。被災地では、生活の再建に一定のめどがつく一方、産業の再生は道半ばであり、復興の着実な推進に向けて、民間ベースでの支援を検討・実施していくことが欠かせない。今般の視察は、復興の現状と課題を把握するために実施したもの。

宮城県石巻市では、石巻商工会議所の後藤宗徳副会頭と地域資源を活かしたまちづくりの重要性や課題について意見交換を行った。また、経済産業省の「地域未来牽引企業」に選出された末永海産を訪問、地元の水産加工業者が共同で統一ブランドを立ち上げ、販路拡大に努める事例を聞いた。

女川町では、須田善明町長や東野眞人副町長と懇談。須田町長の案内で町内を視察しながら、人口減少下における持続的な地域づくりのカギとなる「活動人口」の必要性について理解を深めた。

南三陸町では、被災者が自らの言葉で震災の体験を伝えている「語り部バス」を利用。震災の遺構である「高野会館」の視察など、町内を周りながら当時の様子や震災の教訓を聞いた。

気仙沼市では、観光DMOの事務局を務める「気仙沼地域戦略」の若手メンバーと懇談。地域の主要産業である水産業を中心とした職業体験プログラムを磨き上げ、発信する取り組みの説明を受けた。

岩手県釜石市では、被災した小中学校の跡地に建設され、9月に開幕するラグビーワールドカップの試合会場に選定された「釜石鵜住居復興スタジアム」を訪問。野田武則市長は復興支援に対する感謝の気持ちと復興の現状を世界に発信していきたいとの意向を示した。

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視察を通じて、被災地においても震災の記憶が風化していること、「ヒト」の不足が産業振興のボトルネックとなっていることをあらためて確認する一方、地域資源を活かし、復興に向けて若手リーダーが奮闘する姿をじかに見ることで地域の再生や発展に希望を見いだすことができた。

経団連は、被災地の現状を踏まえ、事業方針で掲げた「震災復興の着実な推進と東北の再生・創生」に資する活動を展開していく。具体的には、10月から11月にかけて会員企業・団体が行う東北関連の企画・イベントを一体的にプロモーションする「東北復興応援フェスタ」を実施するとともに、三井不動産の協力を得て「東北復興応援マルシェ」を10月7日と8日に開催する。

あわせて、今後の活動の基盤として、被災地の現状と課題を的確に把握することが重要となることから、来年度以降も視察を継続する。

【産業政策本部】