Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月4日 No.3414  「教育再生のこれまでとこれから」 -赤池自民党文部科学部会長が講演/教育・大学改革推進委員会

経団連は6月18日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(渡邉光一郎委員長、岡本毅委員長)を開催した。赤池誠章参議院議員・自由民主党文部科学部会長が安倍政権下の教育再生への取り組みやSociety 5.0時代の教育の方向性について講演し、その後意見交換を行った。続いて、2019年度の委員会の活動計画に関する審議や「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」に関する報告を行った。赤池議員の講演要旨は次のとおり。

■ 教育再生に向けた取り組み

教育改革は、自民党結党時に定められた政綱の第一に掲げられており、自民党が最も重視する政策の一つである。第1次安倍内閣が行った教育基本法の改正は、旧教育基本法の内容はそのままに、新たな考え方を追加したものである。すなわち、「日本の伝統を継承し未来を切り拓く」という時間軸の拡大と、「わが国と郷土を愛するとともに国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」という空間軸の拡大を加えた改正である。以降、自民党では教育再生の「実行」に向け、党の教育再生実行会議で累次にわたる提言を示して実行してきた。

■ 国づくり、地域づくりは人づくりから

「教育は国家の基本」であり、「知・徳・体・食」の均衡のとれた育成が重要である。教育改革の具体的な内容は、来る参議院議員選挙に向けた自民党の公約に端的に示されている。まず初等教育においては、幼小連携の前提のうえに特に10歳くらい(小学校4年生)までに基礎・基本を徹底的に習得することが肝要である。他方、5年生以降は、英語・プログラミング教育の導入も踏まえ、現在中央教育審議会で議論がなされている教科担任制を採用して、個々の能力に応じた指導の確立が求められる。

また、1人1台のPCの整備など、学校のICT環境の抜本的な改善により、ICTを活用した学習を促進する。もちろん、環境整備だけではなく、それが実際に学力の向上に資するよう、教育の質を確保するとともに、情報モラル教育やネット依存症対策なども進めていく。

このほか、英語教育の充実、いじめや児童虐待などへの対応、学校の働き方改革に加え、高等教育においては、就職氷河期世代を含む社会人の学び直し、AI人材等の育成、若手研究者の研究環境の整備などについても取り組んでいく。

2023年は学制発布から150年となる。明治の学制発布で全国津々浦々に小学校が設置され、当時の世界最先端の教育が行われた。学制発布150年を契機に、Society 5.0時代の教育に向けた「令和の学制改革」を進めるべきである。ライフサイクルもライフステージも多様化するなか、地域・国家・国際の視点を理解し、文理融合の教育をもとに、スペシャリストであり、かつ総合的な判断ができるジェネラリストでもある「国内外の課題の解決に向けて対応できるリーダー」の養成が求められる。そのためには、初等教育段階から、自らの考えをまとめ、形にする訓練を継続して行うことが重要である。例えば、発達段階に応じて小論文や大学の卒業論文を義務化するなど、論理的思考や課題解決能力を伸ばす教育を推進していく。

【SDGs本部】