Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月4日 No.3414  港湾物流情報のデジタル化等をめぐり意見交換 -ロジスティクス委員会

経団連は6月13日、都内でロジスティクス委員会(武藤光一委員長)を開催。下司弘之国土交通省港湾局長から、港湾物流情報の電子化に向けた施策を中心に、最近の港湾施策について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ サイバーポートの実現

政府では現在、内閣官房IT総合戦略室と国土交通省港湾局が中心となり、すべての港湾物流・貿易手続きの電子化に向けて、港湾関連データ連携基盤の構築に取り組んでいる。それによって各種手続きが迅速化・省力化されるだけでなく、港湾情報の利活用を通じた斬新な高度物流サービスの創出が期待される。

輸出入は、実体貨物と情報、金融(関税納付、代金決済など)がリンクして動かなければならず、しかも手続きごとに主体が変わるため、極めて難しい世界である。かつて各社のシステムを一つのネットワークでつなぐことも試みたが現実的ではなかったため、今回、クラウド上のデータベースシステムから各関係者が必要なデータを引き出すような仕組みを目指す。

基盤構築に向けて、昨年11月に、官民関係者による「港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会」を設置した。また、昨年度は荷主、海貨業者、陸運事業者、船社等を対象にアンケートを実施し、港湾物流における業務フローや情報伝達方法を確認した。業務ごとに伝達方法が異なることを考慮し、各社システムとの接続方法や情報入力方法を検討している。

今後、輸出入コンテナ貨物に関する情報を対象に2020年末までに連携基盤を構築するとともに、参加者拡大に取り組む。構築後も機能拡張、利用促進に取り組んでいく予定である。

■ AIターミナルの実現

近年、大型コンテナ船の寄港増加により、荷役時間の長期化やゲート前渋滞が深刻化する一方、港湾労働者の人手不足も問題となっている。そこで、ターミナルオペレーションの電子化を通じて、ターミナルの荷役能力やゲート処理能力の向上、労働環境の改善を図ることが求められる。

こうしたことから、政府では、先端技術を組み合わせることにより、世界最高水準の生産性と良好な労働環境を有する「AIターミナル」を実現すべく取り組んでいる。例えば、これまで横浜港において、搬出入予約やICチップ付き身分証明書等によりゲート処理の効率化を目指すシステム「CONPAS」の実証実験を実施したところ、ドレージ会社が輸入貨物を搬出するときにゲート前の待機時間が約5割削減された。こうした成果も踏まえながら同システムを他港にも拡大していく。

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その後の意見交換では、委員から、すでに通関手続き等はNACCS(通関情報処理システム)にて電子化されているほか、貿易情報に関する連携基盤の構築を独自に進めている民間企業もあり、さまざまなシステムの乱立が懸念されるとの発言があった。これに対して下司局長は、独自に社内システムを構築している民間企業等とは個別に話を進めており、連携の必要について認識を共有していると答えた。

【産業政策本部】