Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月4日 No.3414  スタートアップ政策タスクフォース第1回会合を開催 -市場構造の見直しの議論の動向を聞く/スタートアップ委員会スタートアップ政策タスクフォース

出雲座長

経団連は6月11日、東京・大手町の経団連会館でスタートアップ委員会スタートアップ政策タスクフォース(出雲充座長)の第1回会合を開催した。金融庁の八幡道典企画市場局市場課監理官と東京証券取引所の林謙太郎上場部長から、金融審議会市場構造専門グループにおける市場構造見直しの議論の動向等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ スタートアップ政策タスクフォースの設置趣旨(出雲座長)

経団連は「スタートアップ委員会」を5月に新設した。その下に設置されたタスクフォースでは、構成員をスタートアップに限定したうえで、(1)スタートアップから政策要望を吸い上げ経団連の政策委員会へと伝達・反映(2)経団連の政策委員会からの求めに応じてスタートアップとしての意見を議論・答申――といった機能を担う。また特徴的な試みとして非会員のスタートアップも参加可能としている(当日も非会員の出席あり)。

取り扱うテーマによっては、必要に応じて、経団連またはタスクフォースとして意見発信していきたい。

■ 市場構造の見直し(八幡監理官、林部長)

八幡金融庁監理官

2018年の秋ごろから、東京証券取引所で将来的な市場構造のあり方についてクローズドな会合で議論を継続してきた。クローズドという性質もあり、実際の議論とは異なるかたちで報道がなされたのは事実である。19年3月に現在の課題を整理・公表し、クローズドな会合自体は役目を終えたものの、金融庁としてあらためてオープンな場で話し合うことが必要と考え、金融審議会に場を移して5月から議論を開始した。本日は3月時点の東証による見直しの方向性を説明したい。

現在の東証の市場区分は、13年の統合直前の東証と大証(大阪証券取引所)の基本的な市場構造を維持している。これは、統合の影響が市場関係者に及ばないようにとの考えによるものだった。その後、統合から5年が経過し、将来に向けて見直しを行うこととした。

さまざまな市場関係者から意見を聴取した結果、(1)各市場区分のコンセプトが曖昧で投資家目線の利便性が低い(2)バイオ・素材・宇宙などの先行投資型スタートアップに十分な上場機会がない(3)上場会社に対して企業価値向上を動機づける仕組みが弱い――などといった課題が浮かび上がった。

これを踏まえて、明確なコンセプトに基づいた市場区分に再設計することが必要との認識に至り、現時点では、一般投資者の投資対象となる企業から成る市場(A市場)、高い成長性を有する企業から成る市場(B市場)、国際的な機関投資家をはじめ幅広い投資者の投資対象となる企業から成る市場(C市場)の3市場を案として検討している。

今後、さまざまな市場関係者のヒアリングを通じ、先行投資型のスタートアップ企業に対する円滑な上場機会の提供の視点を含めて、あるべき市場像を見いだしていく。

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説明を受けて、タスクフォース委員間で今後の市場のあるべき姿について議論がなされた。

【産業技術本部】