Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年7月11日 No.3415  「Society 5.0時代の大学教育と採用のあり方に関するシンポジウム」を開催 -産学協議会「中間とりまとめと共同提言」について幅広く周知

経団連が国公私立大学とともに設置した「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下、産学協議会)は、4月22日に「中間とりまとめと共同提言」を公表した。そこで、その趣旨と内容について幅広く周知し理解を得ることを目的に、6月25日、東京・大手町の経団連会館で「Society 5.0時代の大学教育と採用のあり方に関するシンポジウム」を開催した。

経団連会員企業・団体や大学関係者、学生など435名が参加した同シンポジウムでは、冒頭、産学協議会の経団連側委員を務める渡邉光一郎経団連副会長/教育・大学改革推進委員長と、大学側座長の山口宏樹就職問題懇談会座長・埼玉大学学長がそれぞれトップメッセージを寄せたほか、産学協議会委員および傘下の3つの分科会会長による報告やパネルディスカッションが行われた。渡邉副会長と山口座長からのメッセージの要旨は次のとおり。

■ 渡邉経団連副会長

渡邉副会長/教育・大学改革推進委員長

技術革新やグローバル化の進展で産業構造・社会構造が大きく変わるなか、経団連は、変化の先にある社会を「Society 5.0」と位置づけ、デジタル技術やビッグデータを最大限活用することで社会課題を解決していくとともに多様な人々が「想像力」と「創造力」を発揮することで新たな価値を創造することを目指している。つまり、Society 5.0は人を中心に据えた概念であり、その実現には「人づくり」が重要になる。

Society 5.0時代には、AIなどデジタル革新から逃げることなく果敢に挑戦していくとともに多様な考え方や能力を持つ人材が求められることから、教育においては「文理分断からの脱却」「リカレント教育」「リーダーシップ人材の育成」「平等主義からの脱却」が必要となる。また、学生には、自身の個性に磨きをかけ「就社」ではなく「就職」を意識しつつ自らの進路・キャリアを考えること、企業には、採用時に学生の学修成果等をより一層評価すること、そして大学には、世界最高水準の教育・研究を進めていくことが期待される。

産学協議会では、現状への危機意識と今後の改革の方向性について産学で共有した認識を「中間とりまとめと共同提言」として公表したが、改革に向けた取り組みはスタート地点に立ったばかりである。今後は、タスクフォースを立ち上げ、産学共同で実施する具体的なアクションについてさらに検討し、推進していく予定である。

■ 山口就職問題懇談会座長

山口就職問題懇談会座長

就職をめぐる大学側と産業界の話し合いの歴史は1953年にまでさかのぼる。当時、景気が悪く就職難で学生の不安が増し、一方で企業側が採用活動開始時期を早めたことから、大学側が就職事務の開始日等を内容とする申し合わせを行い、企業側に協力を要請した。その後、就職問題はさまざまな変遷を経たが、就職問題懇談会の「大学は学生に、未来を切り拓いていけるような高い学力と豊かな人間性を身につけたうえで、社会に送り出す責務を果たすため、正常な学校教育と学生の学修環境を確保する。その理念のもと、各大学は学生の就職活動の秩序を維持し、就職機会の均等を期することに取り組む」という基本的考え方は、今後も変わることはない。

産学協議会では今後、タスクフォースを設けて具体的アクションを検討し、それぞれのテーマについて局所最適な解を見いだすこととなるが、タスクフォースの議論に対して横串を刺すことで全体最適な解となるよう注意を払うことも必要である。

パネルディスカッション

同シンポジウムは、YouTubeの経団連チャンネル(https://www.youtube.com/c/KeidanrenOrJp)で動画を公開している。

【SDGs本部】