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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年8月29日 No.3420 第22回日本ブラジル経済合同委員会をサンパウロで開催 -日メルコスールEPAの推進で一致

経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は7月29、30の両日、ブラジル全国工業連盟(CNI)とブラジル・サンパウロで日本ブラジル経済合同委員会を開催した。CNIからアンドラーデ会長、バルトロメオ・ブラジル日本経済委員長をはじめ約300名が出席し、日本側からは飯島委員長はじめ約130名が出席した。

■ 日伯経済の現状と展望

日本・ブラジルそれぞれの経済情勢や両国間の人的交流・物流への期待について議論した。ブラジル側からは、ボルソナーロ大統領が積極的に取り組む年金・税制改革等の構造改革の現状と今後の見通しが説明された。

日本側からは、世界経済の減速が短期的には日本経済の下押し要因となるものの、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが観光産業の発展などを通じたレガシー効果をもたらすことが期待できる旨を紹介した。また、ブラジルから日本への渡航者が増加しつつあるとともに、今年6月にはブラジルを短期訪問する日本人に対し査証が免除されたこともあり、今後の二国間の人的交流の拡大への期待も示した。

■ 日メルコスールEPA

菅官房長官(右)に共同声明を建議する飯島委員長

飯島委員長(右)とバルトロメオ委員長

日本とメルコスール(南米南部共同市場、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイから成る関税共同体)間の貿易・投資交流をはじめとする経済関係は堅調に推移してきたものの、さらなる経済・産業協力を推進するポテンシャルは極めて大きいとの認識をあらためて共有した。

意見交換では、双方からEPA締結によるさまざまなメリットが紹介され、日メルコスールEPAに対する期待が示された。またメルコスールとEUや韓国とのFTA交渉が進展するなか、わが国の対メルコスールビジネスが相対的に不利になるとの危機感が日本企業から表明された。

これらの議論を踏まえ、経団連とCNIは「日メルコスールEPAに向けた共同声明」を採択した。物品・サービス貿易の自由化やルール整備は日本とブラジルひいては日本・メルコスール間のより互恵的な経済関係を構築し、両地域の繁栄に貢献するとして、早期の交渉開始等に向けた政治の強力なリーダーシップの発揮を求めている。

共同声明は合同委員会のなかでブラジル政府に提出するとともに、合同委員会後に大前孝雄日本ブラジル経済委員会企画部会長が訪問したパラグアイでも外務大臣、商工大臣に手交した。また、飯島委員長は8月22日に菅義偉官房長官を訪問、共同声明を建議した。

■ 農業・ロジインフラ

ブラジルの主要産業である穀物輸出については国土が広大であるために輸出港までの輸送コストの削減が重要な課題となっている。とりわけトラックによる道路輸送が中心となっている現状に対して、輸送効率の高い貨物鉄道網の拡充や関連港湾インフラの整備を求める意見が出された。ブラジルの穀物生産は今後も増大が予想されることから、農業・ロジスティクスインフラが日伯のビジネス協力の有望な分野であり、その整備が他分野での協力の推進要因となるとの見方も示された。

■ SDGs達成に向けた日伯協力

イノベーションを通じたSDGs達成に向けた日伯協力をテーマに議論を行った。日本側からは、Society 5.0とSDGs達成に向けた取り組み等を紹介。一方で、ブラジル側からは、第4次産業革命・Industry 4.0を通じたさまざまな社会的課題への取り組みについて説明があり、これらの分野における協力促進への期待を共有した。

【国際協力本部】

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