Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年8月29日 No.3420  地方税にかかる税務手続き電子化の取り組みについて聞く -税制委員会税制専門部会

経団連は7月24日、東京・大手町の経団連会館で税制委員会税制専門部会を開催し、地方税共通納税システムについて地方税共同機構の加藤隆理事長、青木康祥プロジェクトマネージャーから、地方税務手続きのデジタル化の推進について総務省自治税務局企画課の東高士電子化推進室長からそれぞれ説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 地方税共通納税システム

地方税共同機構は、地方税ポータルシステム(eLTAX)を管理・運営する地方共同法人(全国1788の地方団体で共同運営)である。地方税共通納税システムの稼働で地方団体の公金を扱う観点から、地方税法の改正によって今年4月に設立された。

現行の税務手続きの多くは、各地方団体が発行した紙の納付書に基づき、地方団体指定の金融機関窓口に納税者がそれぞれ出向き納付することで行われており、納税者・地方団体双方に事務負担が大きい。全国の地方団体へ電子的に納税可能なサービスについての社会的な要請を受け、今年(令和元年)10月1日から地方税共通納税システムが導入される。税目は、eLTAX申告に対応している法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税、事業所税、個人住民税(特別徴収分、退職所得分)が対象となる。

地方税共通納税システムでは、納税者が対象税目のeLTAX申告後に電子納税を選択した場合に、全地方団体の電子納付書について、納税者の主要金融機関から地方税共同機構を経由して全地方団体に納付できるようになる。これにより納税者は、地方団体が指定した金融機関に制約されることなく、同一税目についてすべての地方団体に一括で電子納税を行うことができる。例えば、広域的に事業を展開する大企業が、毎月納付手続きが生じる個人住民税(特別徴収分)を、複数の地方団体に一括で納付することができるようになる。また、地方団体においても、電子的な処理による収納事務負担の軽減、領収済通知書の保管スペースの削減、納付書の郵送事務負担の軽減および郵送費の削減などの効果がある。

収納手段は、eLTAXと金融機関のインターネットバンキングを連携させる情報リンク方式に加え、納税者が事前に登録した金融機関口座から直接納税するダイレクト方式を導入する。今後、主流の収納手段となろう。なお、10月1日の稼働に向けて、ダイレクト方式にかかる口座登録を8月19日~9月13日の期間で先行して開始している。

今後、さらなる利便性向上に向けて、固定資産税や自動車税など賦課税目への拡大、クレジット収納やコンビニ収納など収納方法の拡大を関係者と検討していく。

■ 地方税務手続きのデジタル化の推進

平成30年度税制改正により、大法人における地方法人二税は、2020年(令和2年)4月1日以後開始する事業年度の申告から電子申告が義務化されるが、平成30年度の地方法人二税の電子申告利用率は、大法人で61.7%(中小法人は70.4%)という状況にある。今年10月から地方税共通納税システムが稼働すると、申告から納税まですべて電子的に手続きすることが可能となり、また、今後も国税との連携を強化する納税環境整備を予定しているので、ぜひ電子申告・納税を利用してほしい。

【経済基盤本部】