Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年9月19日 No.3423  「安倍首相はG20大阪サミットの成果のうえにG7で議論をリード」 -G20・G7の総括について説明を聞く/外交委員会

説明する冨田氏(左)と安部氏

6月28~29日に開催されたG20大阪サミットに先立ち、経団連では3月にB20東京サミットを開催し、共同提言を取りまとめてG20議長である安倍首相に手交した(3月21日号28日号既報)。同サミット後も関係閣僚会合で共同提言を説明するなど積極的な働きかけを行った結果、G20大阪首脳宣言および関係閣僚会合の声明にB20共同提言の内容が概ね反映された。また、G7開催国であるフランスの経済界との緊密な連携のもと、7月上旬にエクス=アン=プロヴァンスで開催されたB7サミットを通じて、参加国経済界の考え方がG7ビアリッツ・サミットに反映されるよう取り組んできた。

こうした経緯を踏まえ、G7サミット(8月24~26日)終了後の9月3日、東京・大手町の経団連会館で外交委員会(片野坂真哉委員長、大林剛郎委員長)を開催し、外務省の冨田浩司特命全権大使(金融・世界経済に関する首脳会合担当)と安部憲明経済局政策課企画官から、G20大阪サミットおよびG7ビアリッツ・サミットを総括する説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ G20大阪サミット(冨田特命全権大使)

経団連が中心となりB20として共同提言を取りまとめ、G20に貴重なインプットを行ったことは、会議の成功に大いに寄与した。

G20大阪サミットは日本国内で開催した史上最大規模の首脳会議となった。さまざまな価値観を持つ国々をまとめることは困難だったが、安倍首相が多くの首脳と構築してきた良好な関係も奏功し、議長国としての重責を果たすことができた。

最も注目を集めた議題の一つである貿易に関しては、「保護主義との闘い」という表現がないとの指摘が散見されるが、現下の貿易摩擦に対処すべく、「大阪首脳宣言」では、世界経済の下方リスクとして貿易と地政をめぐる緊張が増大している点を挙げるとともに、「自由、公正、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易および投資環境を実現し、開かれた市場を維持する」という強い意思を表明している。

またデータ流通については、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(DFFT、信頼性のある自由なデータ流通)を盛り込むとともに、「デジタル経済に関する首脳特別イベント」で国際ルールづくりの枠組みである「大阪トラック」の立ち上げを宣言した。

加えて「質の高いインフラ投資に関するG20原則」や、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロとすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有することができたのは、大きな成果だった。

■ G7ビアリッツ・サミット(安部経済局政策課企画官)

マクロン大統領の意向もあり、首脳間の率直な議論に重点が置かれ、わずか1ページの簡潔な「G7ビアリッツ首脳宣言」を含む成果文書を発出した。

安倍首相は、G20大阪サミットの成果のうえに、下振れリスクに対する機動的対応を含む世界経済の成長、自由貿易の推進、気候変動といった地球規模課題に加え、北朝鮮やイランへの対応といった外交・安全保障上の課題についてもG7首脳間の率直な議論をリードした。

【国際経済本部】