Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月3日 No.3425  公正取引委員会から「デジタル・プラットフォーマーと消費者間の優越的地位の濫用規制の適用」や「大企業の働き方改革に伴う下請等企業へのしわ寄せ防止」等について聞く -経済法規委員会競争法部会

経団連は9月12日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会競争法部会(川田順一部会長)を開催した。公正取引委員会の菅久修一経済取引局長、東出浩一取引部長、笠原宏政策立案総括審議官、深町正徳企業結合課長、川上一郎企業取引課長、笠原慎吾経済調査室長から、「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのしわ寄せ防止のための総合対策」等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ デジタル・プラットフォーマーと消費者間の優越的地位の濫用規制の適用

昨年12月に公表された公正取引委員会・経済産業省・総務省「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」において、「データを提供する消費者との関係での優越的地位の濫用規制の適用等」について検討することとされ、今年の成長戦略フォローアップにおいても、夏までにデジタル・プラットフォーマーと消費者との間の優越的地位の濫用の関係について考え方を整理するとされたことから、同考え方(案)を作成・公表した。

デジタル・プラットフォーマーは、中小企業を含む事業者の市場へのアクセスを飛躍的に高め、消費者にとっては利便性向上につながるなど、わが国の経済にとって重要な存在である。しかし、ネットワーク効果、規模の経済等の特性を通じて独占化・寡占化が進みやすく、また、個人情報等の取得・利用に関して懸念の声もある。

独占禁止法の優越的地位の濫用規定は、被濫用者を「取引する相手方」としており、「事業者」に限定していない。また、個人情報等は「経済的価値」を有するといえる。そこで、考え方(案)では、消費者が提供する個人情報等に比してデジタル・プラットフォーマーが提供するサービスの質が相応でないときには、優越的地位の濫用の問題となり得るとの考えのもと、濫用にあたる行為等を類型化している。

なお、考え方(案)は、9月30日までのパブリック・コメント手続きを経て、今年中に内容を確定する予定である。

■ 大企業の働き方改革に伴う下請等企業へのしわ寄せ防止

「働き方改革関連法」による改正後の労働基準法に規定する罰則付きの時間外労働の上限規制や、年5日の年次有給休暇の確実な取得をはじめとする改正事項が順次施行されるなか、大企業等による長時間労働の削減等の取り組みが、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請および附帯作業の要請などの「しわ寄せ」を生じさせ、下請法等の問題となる可能性がある。

働き方改革と取引適正化を車の両輪としてとらえ、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境と公正な取引環境の実現が大企業等と下請等中小事業者の双方において、成長と分配の好循環を実現するうえでの共通の課題の一つである。

大企業においては、自社の働き方改革により下請等中小事業者への「しわ寄せ」を生じさせ、下請等中小事業者の働き方改革の妨げとならないよう配慮いただきたい。

※ 参考「働き方改革に関連して生じ得る中小企業等に対する不当な行為の事例」(2018年5月31日)
https://www.jftc.go.jp/shitauke/oshirase/180531jirei.html

【経済基盤本部】