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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月24日 No.3428 沖縄における地域経済活性化に向けた取り組みを聞く -地域経済活性化委員会

経団連は10月4日、東京・大手町の経団連会館で地域経済活性化委員会(古賀信行委員長、小林哲也委員長、浅野邦子委員長)を開催し、沖縄県ならびに沖縄の各市における地域経済活性化に向けた取り組みについて説明を聞くとともに懇談した。冒頭、宮地毅内閣府政策統括官が「地域活性化のフロントランナーでもある沖縄における各種取り組みを通じて、他地域の活性化のきっかけになることを期待する」とあいさつしたのに続き、県、各市が説明した。概要は次のとおり。

1.沖縄県(松永享商工労働部産業振興統括監)

沖縄経済は、2015年に県内総生産が4兆円を突破した後も右肩上がりで上昇を続ける見通しとなっており、非常に好調である。沖縄県ではさらなる加速に向けて「沖縄県アジア経済戦略構想」を策定した。同構想をもとに、国内・アジア主要都市まで航空機4時間圏内に位置する地理的優位性を活かして、国際競争力のある物流拠点の形成、観光リゾート地の実現などを目指す。

2.名護市(渡具知武豊市長)

東西を海に挟まれた名護市では、西海岸の「中心市街地重点整備地区」を核としながら、5つの重点整備地区ごとにその地域特性を活かしたまちづくりを進めている。例えば、名護湾では「名護湾沿岸基本構想(案)」として、手つかずの海浜を活かしたエンターテインメントとリゾートエリア、海と中心市街地の間にある漁港に観光拠点施設等を整備し、産業振興・定住促進に資するまちづくりを目指している。また、全国で唯一の「経済金融活性化特別地区」という特性を活かし、東海岸では企業誘致を通したまちづくりを進めてきた。昨年からは内閣府によるテレワークの実証実験にも協力するなど、沖縄でのワーケーション(注)・働く環境づくりにも積極的に取り組んでいる。

3.沖縄市(桑江朝千夫市長)

沖縄市は人口14万人を超える沖縄県第2の都市であり、戦後さまざまな文化の影響を受けた国際色豊かなまちとして成長してきた。現在、音楽、スポーツを軸にしたまちづくり、国際文化観光都市としての取り組みを進めている。特にスポーツ振興については、地域活性化につながる重要な施策として、収容人数1万人規模の沖縄アリーナ整備事業を進めている。同アリーナは23年のFIBAバスケットボールワールドカップの予選開催地に選ばれており、多くの経済効果が期待されている。また、地域の魅力を高め均衡ある発展を目指し、市の東海岸に県内最大級の人工ビーチを有する人工島の開発を推進している。

4.宮古島市(下地敏彦市長)

沖縄本島の南西約300キロメートルに位置する宮古島市は「宮古ブルー」といわれる青い海などの美しい自然を背景に、入域観光客数は右肩上がりに伸びており、18年度には100万人を突破した。観光産業のさらなる拡大に向け、国際便の就航やクルーズ船が接岸できるバース(停泊地)の整備を進めている。また、もう一つの基幹産業である農業では、雨水をため込む地下ダムを整備したことで生産性が向上し、沖縄県内トップの農業生産量となった。今後は、農業と観光業の連携による6次産業化を進めるとともに、若年層の流出に歯止めをかけるため、高等教育機関の設置に向けた検証事業を進めていく。

(注)ワーケーション=仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語。旅先で休暇をとりながらリモートワークを行う働き方

【産業政策本部】

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