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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月24日 No.3428 「長期的な経済成長のカギは労働力」 -ハーバート・ユタ州知事一行との懇談会を開催

ハーバート州知事

経団連のアメリカ委員会(早川茂委員長、植木義晴委員長、永野毅委員長)は9月19日、東京・大手町の経団連会館で、米国ユタ州のゲイリー・ハーバート州知事一行と懇談した。なお、経団連は今年7月にユタ州ソルトレイクシティで開催された全米知事会夏季会合に参加した際にも、主催者の一人であったハーバート州知事と懇談しており、今回が経団連として二度目の懇談機会となる。ハーバート州知事の説明の概要は次のとおり。

■ 多様性に富んだ経済が自慢

ユタ州は多様性に富んだ経済を誇り、さまざまな産業が発達している。近年、特にバイオ、ライフサイエンス、エネルギー、航空・宇宙産業に力を入れている。なかでもライフサイエンスについては目覚ましい発展を遂げており、州のGDP全体の約8%を占めるまでになっている。最近はベンチャーキャピタルの成長も著しく、ハイテク企業や金融機関にとっての魅力も増している。ユタ州には、「フォーチュン500」に名を連ねる多くの企業が拠点を構えているだけでなく、「シリコン・スロープ」というハイテクハブを有しており、いまやカリフォルニア州のシリコンバレーをしのぐ成長を遂げていると自負している。

また、交通網も申し分ない。米国内外90地域との間をつなぐ直行便や、3本のインターステート・ハイウエーは、ユタ州のビジネス環境をより利便性の高いものにしており、28カ国219の企業がユタ州に進出している。

■ 長期の経済成長を支える労働力の育成

長期的な経済成長を実現するためのカギは労働力だと考えており、2020年までに66%の学生が高等教育を受けることを目標に掲げた。高等教育機関卒業者が、企業の求めるスキルを持ち合わせていないケースもあるため、こうしたアンマッチを未然に防止すべく、教育機関とも連携している。可能な限り時間をかけずにスキルを身につけるべく、コミュニティーカレッジや大学の工学部にも協力を仰いでいるところだ。数年前、Utah Pathway Programを開始した。大学生を対象に、企業の仕事を体験してもらうプログラムであり、航空・宇宙、ライフサイエンス、医療機器製造やIT等の業界における仕事に従事することで、将来的なキャリアをイメージできるようにした。

ユタ州では、ビジネスにおいて130もの言語が使用されており、労働者の約3分の1がバイリンガルであるという、米国内ではユニークな存在だ。「CEOマガジン」では、同州の労働力は全米一質が高いと評価されており、誇りに思っている。

■ 発展を続ける日本とのビジネス関係

ここ数年、日本とユタ州のビジネス関係は発展し続けており、14年以降、貿易総額は倍以上に増加した。18年には、同州から日本に8億5000万ドル以上を輸出しており、輸出実績は過去5年で46%増えた。輸入実績についても、過去5年間で150%増となる3億1400万ドルを記録した。同州には高い倫理観を持った州民が多いが、日本も高い倫理感を持った国民が多いと認識している。類似した価値観や文化を共有しているからこそ、ビジネスも発展する。

日本には、ユタ州の未来の一部になってもらい、またユタ州も日本の未来の一部になりたい。今後も日本とユタ州がお互いに発展していけることを願っている。

【国際経済本部】

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