Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月31日 No.3429  第10回アジア・ビジネス・サミットをハノイで開催 -「デジタル・アジア」「グローバル・アジア」テーマに議論

10カ国・地域から12経済団体の首脳が参加

経団連(中西宏明会長)は10月17日、ベトナム商工会議所(Vietnam Chamber of Commerce and Industry)とともに、ベトナム・ハノイで第10回アジア・ビジネス・サミットを開催した。同サミットは、経団連の提唱により2010年から毎年開催されており、アジアの主要国・地域の経済界のトップが一堂に会し、共通の課題への対応等について意見交換を行い、共同声明を取りまとめている。今回は10カ国・地域から12経済団体(注)の首脳が参加し、「デジタル・アジア」および「グローバル・アジア」の2つのテーマについて活発な議論を行った。経団連からは隅修三副会長、中村邦晴副会長、篠原弘道副会長が参加した。

開会セッションでは、ベトナム商工会議所のヴー・ティエン・ロック会頭から、「アジア経済は目覚ましい成長を遂げており、グローバル経済の原動力となっている。デジタル化による新たな革命はアジアにとってチャンスでもあり、チャレンジでもある。サミットを通じて、アジア経済の共通の目標を再確認し、新たな課題に対する解決策について議論していきたい」とのあいさつがあった。

共同記者会見に出席する隅副会長(左から4人目)、
ロック・ベトナム商工会議所会頭(同5人目)

続いて、隅副会長から、「企業を取り巻く環境は、デジタルトランスフォーメーションやグローバリゼーションの動向によって大きく変貌し、新たな挑戦に直面している。こうした動きを受け、デジタル・アジアとグローバル・アジアをテーマに活発な意見交換を行い、アジア経済界の絆が一層強まることを期待したい」との話があった。

セッション1の「デジタル・アジア」では、アジア地域は開かれた政策枠組みを堅持し、デジタルイノベーションが生み出す機会を探求するとともに、技術進歩をわれわれの活動のあらゆる分野に反映させていくことが重要であり、また、デジタルエコノミーの広がりに伴い、サイバーセキュリティについても地域およびグローバルなレベルでの連携が必要との認識が共有された。加えて、持続的発展を確かなものとするために、スマート社会の実現へとつながる各国・地域の一体となった取り組みが不可欠であるという議論があった。

続くセッション2の「グローバル・アジア」では、保護主義とナショナリズムに起因する不確定要素が顕在化するなか、自由で開かれた貿易の実現に全力を挙げて取り組み、アジア経済の中核である零細・中小企業の国境を越えた事業展開とグローバル・バリューチェーンへの参画を支援するという認識を共有した。また、インフラ開発における官民のパートナーシップを支援する実効性ある仕組みづくりや、デジタル時代における人材育成の重要性が再確認された。

最後に、これらの議論を踏まえ、共同声明が取りまとめられた。なお、次回のアジア・ビジネス・サミットは、経団連の主催により、来年東京で開催することが合意された。今後も同サミットを通じ、アジア各国・地域との経済交流が促進されることが期待される。

(注)経団連、ベトナム商工会議所、中国企業連合会、中国国際貿易促進委員会、全経連(韓国)、インド工業連盟、マレーシア日本経済委員会、フィリピン日本経済委員会、シンガポール経団連、東亜経済協会(台湾)、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会

【国際協力本部】