Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月7日 No.3430  第10回日米インターネットエコノミー政策協力対話を開催 -日米両国政府が取り組むべき施策を共同声明として取りまとめ

総務省と米国国務省は、2010年から「インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話(日米IED)」を定期的に開催し、インターネットやデジタル経済等をめぐる諸課題について意見交換を行うとともに官民対話の場を設けてきた。第10回となる今回は、10月9日に民間主催会合、10日に官民会合が都内で開催され、経団連の梶浦敏範デジタルエコノミー推進委員会企画部会長代行ほか日米の産業界や政府関係者が多数参加した。

民間主催会合では、「プライバシー」「DFFT(Data Free Flow with Trust)」「サイバー・セキュリティ」「AI」の4つのテーマについて議論が交わされた。また、官民会合では、「5G」「第三国連携」「国際協調(データフロー・IoTセキュリティ等)」「AI」の各テーマについての意見交換が行われ、第10回日米IEDは盛会のうちに閉幕した。

■ 日米産業界共同声明の取りまとめ

経団連と米国商工会議所、在日米国商工会議所(ACCJ)は9日の民間主催会合において、日米両国政府が目指すべき方向性や具体的に取り組むべき施策を「日米IED民間作業部会共同声明2019」として取りまとめ、翌10日の官民会合で両国政府に提出した。概要は以下のとおり。

Ⅰ.データ活用のための政策枠組みの整備

(1)次世代データ・ガバナンス枠組みの確立

電子商取引を推進するため、デジタル製品・サービスの無差別な取り扱いと、電子的送信に対する関税不賦課とすべきである。

また、次世代データ・ガバナンスの枠組み構築においては、「リスクに基づくセキュリティとプライバシー保護の基準について、法域を超えた国際的な相互運用性」「コンピューター設備の所在地に関する企業の独立した意思決定」を進めるべきである。

(2)電子商取引に関するWTOルールの実現

データ流通や電子商取引に関する国際ルールづくりを進めていくプロセスである「大阪トラック」における議論の進展を期待する。

Ⅱ.サイバー・セキュリティ分野の国際協力の推進

サイバー・セキュリティに地球規模で協調して取り組むことが、事業活動と世界の経済成長のために不可欠であり、日米両国は緊密に連携して取り組みを進めるべきである。

Ⅲ.信頼できるAI活用の推進

日米両国は先導役として、企業および他のステークホルダーと協力しつつ、AIのメリットが十分に裨益することを確保すべく、信頼を得て社会で広範に活用されるような、全体的かつ人間中心で未来志向のAI開発・利用原則を定めるべきである。

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これに対し、米国国務省のロバート・ストレイヤー次官補代理は、「産業界の取り組みに感謝する。これまでの日米協力によりデジタルエコノミーの基盤ができた。引き続き民間との連携を進めたい」と述べた。総務省の巻口英司国際戦略局長は、「第三国連携や国際的なルールづくりに日米で一緒に取り組んでいこうという内容であり、官民で思いを一つにしていると感じた。真摯に受け止めて議論を行っていきたい」と発言した。

【産業技術本部】