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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月21日 No.3432 ロシアの最新のビジネス環境や日露経済関係等について聞く -日本ロシア経済委員会

説明するザセリスキー
経済発展省次官

ロシアは、世界貿易機関(WTO)に加盟した2012年以降、ビジネス環境の改善に向けた取り組みを加速している。世界銀行による最新のビジネス環境ランキングにおいて、ロシアは日本(29位)を上回る28位となるなど、12年の120位から飛躍的な上昇をみせている。また、近年は連邦政府のみならず、地方政府レベルでも投資環境改善に向けた競争が顕著である。

こうしたなか、ロシア経済発展省のピョートル・ザセリスキー次官が来日した機会をとらえ、経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は11月5日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催し、同次官からロシアの最新のビジネス環境や日露経済関係の現状・展望等について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ロシアの最新のビジネス環境

19年上半期のロシアのGDP成長率は、世界貿易の減速等も影響し、対前年比で0.7%減少したが、18年5月の大統領令(「2024年までのロシア連邦発展の国家目標と戦略的課題」)に関連した国家プロジェクトの実施による実質所得・消費の改善に伴い、20年は1.7%成長に好転する見込みである。国際競争力の向上等を企図した同プロジェクトは、ビジネス環境の改善にも資する。世界銀行も、新規事業設立のための許認可取得にかかる日数・手続きの短縮化や納税システムの簡素化等を改善点として評価している。

また、日本企業の関心が高い特別投資契約(注1)についても、長期投資の誘致という観点から、認定を受けるための最低投資額(従来は7.5億ルーブル)を撤廃し、契約期間を見直すなど(従来の最長10年を投資額に応じて最長20年に延長)、優遇条件を拡充している。ロシア政府としては今後とも、ロシア直接投資基金(11年設立)や海外投資諮問評議会(1994年設立)等を通じた外国投資家からの意見を踏まえ、ビジネス環境の改善を図っていく。

■ 日露経済関係の現状や展望

日露貿易は18年に対前年比17%の伸びを示すなど、ポジティブなトレンドにあったが、足もとの19年1~8月期は低迷している。しかしこれは、現在の不安定な世界貿易を反映した一時的な現象にすぎず、今後は、サービス貿易と投資が大きなポテンシャルを有すると考えている。とりわけ日本の対露投資は、8項目の「協力プラン」(注2)に沿って18年に対前年比83.5%増の3億4500万ドルを記録しており、ロシア政府としても高く評価している。

ロシア経済の生産性向上を図るうえで、日本は重要なパートナーである。11月26~27日には、モスクワ郊外のイノベーション・センター「スコルコヴォ」で国際生産性フォーラムが開催される。今後はエネルギーだけでなく、デジタル等の分野でも日露協力関係を強化していきたい。

(注1)輸入代替政策の一環として2016年に導入。投資家と連邦政府が締結する契約に基づき、投資家が行う生産施設の開設・改良等に対し、税制や規制面の優遇措置が適用される一方、投資家は構成部品の現地調達率向上等の目標を課されるため、経団連ではかねて問題提起してきた

(注2)2016年5月にソチで開催された日露首脳会談において安倍首相からプーチン大統領に提示。(1)健康寿命の伸長(2)快適・清潔で住みやすく活動しやすい都市づくり(3)中小企業交流・協力の抜本的拡大(4)エネルギー(5)ロシアの産業多様化・生産性向上(6)極東の産業振興・輸出基地化(7)先端技術協力(8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】

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