Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月19日 No.3436  地方都市の活性化に向けた施策について意見交換 -都市・住宅政策委員会

経団連は12月4日、都内で都市・住宅政策委員会(菰田正信委員長、根岸修史委員長、常陰均委員長)を開催。クリエイティブタウン推進機構の竹歳誠評議委員から地方都市の活性化に向けた方策について、国土交通省都市局都市計画課の楠田幹人課長から最近の都市政策の動向について説明を聞くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 竹歳氏「クリエイティブタウン―期待と課題」

日本ではこれまで、住宅を建てては壊してきたため、家計が疲弊し、所得が消費に回らない「住宅貧乏」に苛まれてきた。また、災害リスクの高さや統一感のない街並みなどにより居住環境もよくない。一方で行政側も、首長が選挙に強くなければ中長期的な視点から街づくりを行うことが難しい。都市計画をめぐる諸課題の解決策の一つがクリエイティブタウンである。

クリエイティブタウンとは、小規模・連鎖型プロジェクトによる開発、地権者主体の街づくり会社によるエリアマネジメント、ライフスタイルのブランド化といった手法により街なかの活性化を図る考え方だ。その実行においては、まず、誰がどのように住むかが課題となる。年金生活者やファミリー世帯が街なかに居住できるようにするためには、社会政策も重要である。また、街づくり会社が資金をうまくやりくりできるかも重要な課題であり、公的部門ともうまく連携する必要がある。

■ 楠田氏「都市行政をめぐる最近のトピックス」

国土交通省では、人口減少時代の街づくりのあり方について有識者会議で検討してもらい、その議論を踏まえて、官民のパブリック空間(街路、公園、広場、民間空地等)をウオーカブルな人中心の空間へ転換し、「居心地がよく歩きたくなるまちなか」の形成を目指す提言を取りまとめた。すでに187自治体がこうした街づくりに興味を示しており、今後、支援策を用意していく。

また、人口減少・高齢化が進む地方都市において、地域の活力や生活機能を維持すべく、公共交通と連携したコンパクトな街づくりを推進している。具体的には、自治体に対して、立地適正化計画によって居住誘導区域を設定するよう促している。すでに300近くの自治体が計画を策定しており、今後5年で倍になるよう取り組む。

中心市街地内に小さな空き地・空き家が増える「スポンジ化」問題も深刻であり、低未利用土地権利設定等促進計画制度等の活用により土地利用の再編を推進している。

さらに国交省では、ICT、AI等の新技術の急速な進展を街づくりに取り入れるべく、スマートシティの先行モデルプロジェクトを15件選定し、重点的に支援している。これらをベースにスマートシティの全国展開を進めたいと考えており、経済界にも引き続き協力をお願いしたい。

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意見交換では、委員から、地方創生のみえるかたちが街づくりであり、スマートシティ以外でもモデルとなる街づくりを重点的に支援し、横展開を図ることが重要だと発言。楠田氏は、その意見に賛同したうえで、地方創生には「しごと」の創出も重要だが、働き方が多様化するなか、「まち」を魅力的にするところから始めるやり方があってもよいのではないかとの考えを示した。

【産業政策本部】