Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月1日 No.3437  男女双方の意識改革で真のダイバーシティを -「第17回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/片野坂副会長が講演

経団連は12月11日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、片野坂真哉副会長(ANAホールディングス社長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第17回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。38名の女性役員が出席し、講演を聞くとともに意見交換を行った。講演の要旨は次のとおり。

■ ANAグループのダイバーシティ&インクルージョン

2015年4月の社長就任時、ダイバーシティ&インクルージョンを新しい価値創造の源泉と考え、ANAグループの「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を行った。一人ひとりが自らの強みを存分に発揮し、その強みを最大限活かす職場づくりに取り組むことや、誰もがいきいきとやりがいを持って働くことで、ゆるぎない信頼とたゆまぬ変革を生み出すANAグループを創ることを経営戦略と位置づけた。ほかにも、「ダイバーシティ&インクルージョンフォーラム」やオープンセミナー、階層別研修などを多数実施するなど、グループを挙げてダイバーシティに取り組んでいる。

■ 私のリーダーシップ論

私の考えるリーダー像は多様である。例えば、「平時のリーダー」に求められるのは、会社のDNAを円滑に引き継いでいくという考え方である。一方、「戦時のリーダー」は、経営が苦しいときに、従来の経営者とは異なる思い切った行動が求められる。「自ら先頭を走るリーダー」もいれば、部下に「任せるリーダー」もいる。さまざまなリーダー像があるなかで、最も身近なリーダーである「会社の先輩」に「義理を欠くな、人情を欠くな、恥をかくな」と学び鍛えられたことが、今の自分の糧となっている。

■ ダイバーシティ推進における課題

ダイバーシティ推進の課題は、男女双方の意識改革である。男性のアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)による過剰な配慮があだになり、女性がキャリアパスを描けなくなることがないよう、男性の意識変革が必要である。また、女性自身の意識改革も必要だ。そのためには女性がキャリア意識を高められるようなロールモデルをつくっていく必要がある。

今後、女性がもっと輝ける社会を目指し、ANAグループでは女性役員の登用を推進していきたい。皆さんは、執行役員から取締役へ、さらなる高みを目指しはしごを上ってほしい。一方で、はしごを上らないという選択肢も、一つの価値観であり、この選択の自由こそがダイバーシティなのではないか。

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講演中、片野坂副会長からの「女性役員の昇進を阻むものは何か」という問いかけに対し、男性のアンコンシャス・バイアスに対する意見や、制度面・環境面の整備に関する課題等について活発な意見交換が行われ、片野坂副会長から多岐にわたるアドバイスが送られた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】