Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月9日 No.3438  「企業行動憲章シンポジウム」を開催 -多様な人材を活かす経営をテーマに

あいさつする渡邉副会長

説明する二宮委員長

経団連は、2017年11月に改定した「企業行動憲章」の趣旨の理解・浸透を目的とした「企業行動憲章シンポジウム」を毎年、東京と大阪で開催している。3回目となる今年度は、12月17日に東京・大手町の経団連会館で、Society 5.0 for SDGsの実現に欠かせない「多様な人材を活かす経営」をテーマに開催した。

冒頭、開会あいさつを行った渡邉光一郎副会長は、デジタルトランスフォーメーションを活用して、多様な人々のイマジネーションとクリエイティビティの融合によって社会課題の解決と価値創造を図るためのカギは「多様な人材(ダイバーシティ)」にあるとして、これに関連する憲章の条文(第1条、第4条、第6条、第10条)の重要性を強調。あわせて、同社グループの企業行動原則や中期経営計画等へのSDGs(持続可能な開発目標)の取り込みをはじめ、SDGs経営の実践状況を紹介した。

続いて登壇した二宮雅也企業行動・SDGs委員長は、経団連が19年11月に取りまとめた「人権を尊重する経営の推進と我が国の行動計画(NAP)に対する意見」について説明を行った。二宮委員長からは、人権は企業にとって極めて重要なテーマであり、経営トップのリーダーシップのもと、全社的な体制整備と教育啓発活動といった実践に向けた取り組みを各社が自主的に推進することが、企業価値や国際競争力の向上につながるとの指摘があった。その際に、ビジネスと人権を、SDGsや持続可能で包摂的な社会の実現という大きな文脈のなかでとらえて推進することが重要であると強調した。

柄澤三井住友海上火災保険会長(右)と
出雲ユーグレナ社長(左)が事例報告

また、経済産業省の中原裕彦経済産業政策局大臣官房審議官による「価値創造のためのSDGs経営」に関する講演後の事例報告では、三井住友海上火災保険の柄澤康喜会長ならびにユーグレナの出雲充社長が、両社における多様な人材を活かす経営への取り組みを紹介したうえで、会場からの質問に応じた。柄澤氏からは、ダイバーシティ&インクルージョンや働き方改革、サステナビリティ・コンテストを通じたベストプラクティスの共有等、出雲氏からは、創業の起点となったバングラデシュでの食糧支援、ミレニアル世代の声を経営に取り込むための最高未来責任者(CFO)の任命といった具体的な取り組みについて説明があった。規模や歴史等が全く異なる大企業とスタートアップが、それぞれの特色を活かしたかたちで多様な人材の活躍を後押しする環境づくりに取り組んでいる一方で、ミッション・ビジョンのわかりやすさや経営トップのコミットメント、リーダーに求めるスピード感、イノベーションの重要性等の共通点も指摘されるなど、示唆に富む意見交換が行われた。

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今月28日には、大阪で同シンポジウムを開催予定である。

【SDGs本部】