Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月30日 No.3440  第123回経団連労使フォーラム開催 -「付加価値の増大で生産性を向上させる」

あいさつする中西会長

経団連、経団連事業サービス(中西宏明会長)は1月28、29の両日、東京・大手町の経団連会館で「第123回経団連労使フォーラム」を開催した。同フォーラムは春季労使交渉のポイントや労使で取り組むべき重要課題などについて、幅広く情報を共有しながら、さまざまな観点から検討する場として毎年この時期に開催。全国各地から企業経営者や人事・労務担当者ら約260人が参加し、「働き方改革は次なる段階へ~付加価値の増大で生産性を向上させる」をテーマに、新たな時代にふさわしい働き方や処遇のあり方を探った。

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開会あいさつした中西会長は、「働き方改革」を「フェーズⅡ」の段階へ深めていくため企業は、働き手が「エンゲージメント」を向上させながら、よりイノベーティブで付加価値の高い仕事に取り組めるよう職場環境を整備する必要があると指摘。

そのうえで、企業労使には、これまでの考え方にとらわれず、さまざまな観点から議論を深めることが、社員のエンゲージメントの向上とイノベーションの創出、Society 5.0の実現の一歩となっていくことに期待を示した。

次に、第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの新家義貴氏が「2020年・日本経済の行方」をテーマに講演。

消費の伸びは緩やかなものにとどまるものの、アジア向け輸出に持ち直しの動きがみられることから、製造業の景況感は改善に向かうとの見通しを示した。

2020年版「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の解説に続き、コマツ会長の大橋徹二氏、日本電気会長の遠藤信博氏、学習院大学副学長・経済学部経営学科教授の守島基博氏が「生産性を向上する人材戦略」をテーマに鼎談を実施。アウトプット(付加価値)を高め、生産性向上を図るための人材育成・活用の取り組みについて議論が行われた。

1日目最後には、連合の神津里季生会長が「連合ビジョン『働くことを軸とする安心社会―まもる・つなぐ・創り出す』の実現に向けて」と題して講演。「底上げ」と「格差是正」「底支え」の重要性に言及したうえで、中小企業への成果配分に従来以上に力を注いでいく姿勢を示した。

2日目はまず日本特殊陶業、J.フロント リテイリングの労務担当役員、UAゼンセン、自動車総連、基幹労連の各産別労組リーダーが「今次労使交渉に臨む方針」について講演。続いて「エンゲージメントを高める各社の取り組み」をテーマに、青山学院大学経営学部経営学科教授の山本寛氏の進行のもと、花王、スターバックスコーヒージャパン、東京海上日動システムズの労務担当役員らによるパネルディスカッションを実施。エンゲージメント向上策や今後の課題をめぐり討議を行った。

最後に日本郵船広報グループの田口亜希氏(射撃パラリンピアン)が「東京2020パラリンピックを契機にした共生社会の実現に向けて」をテーマに特別講演を行った。

【経団連事業サービス】